第431話 あれは新種の何かだな

「皆さん、そろそろ暗くなってくるのです」


「なら、釣りをやめましょうかッピ」


「そうねニャ」


「たくさん釣れたでゴザル!」


 確かにフトリース・ギヒーラメ、マイタ、タァテウオーが大漁だな。


「これは食べまくるしかないキュ!」


「では、料理しましょうか」


 リリィさんが料理をし始めた。



「できましたよ」


「リリィお姉さん、これは何キュ?」


「先程釣れたものをメコギムと一緒に炊いたものと、煮たものです」


 青い炊き込みご飯と、あら汁か。


 香りは素晴らしいんだけど、見た目はちょっと不気味だな。



 では、食べてみようか。


 いただきます。


 メコギムは、米と似たような食感なんだな。


 釣ったものの出汁が、よくしみ込んでいて、とても美味しい。


 色はアレだけど。


 あら汁も相変わらずうまいな。



「ごちそうさま、リリィさん。これも美味しかったよ」


「お粗末様でした」


「美味しかったし、楽しかったキュ!」


「まったくでヤンス! ……あれ? 私たちって、ここに釣りをしに来たんだっけでヤンス?」


「姉さん、私たちはデスーヤをりに来たのよッスわ!」


「そういえば、そうだったでヤンス!」


「釣りが面白くて、忘れちゃってたキュ!」



「なんでデスーヤは出て来なかったんだ?」


「わたくしの電球が、何体か近くに来ていたが、モザイクのせいで人間だと認識されなかったと言っているのです」


「そうだったのかよ!?」


「これは盲点だったでありますな!」


「そうだな」



「ということは、明日はモザイクなしで釣りをするのニャ?」


「いや、それは危険すぎるだろ」


「なら、どうするのッピ?」


「うーん、そうだなぁ……」


「ヒモノと杖ちゃんの魔法に、人を出すものがあるだろ。あれを使ったらどうだ?」


「ああ、イケメンお兄さんを出す魔法か。名案だな、ステーさん! 明日はそれをやってみよう!」


「では、今日は安全なところで休むのです」


「ああ、そうしよう」


 俺たちは海岸を離れた。



 次の日。


 俺たちは、昨日と同じ場所にやって来た。


「よし、杖ちゃんの魔法を使おう」


「うむ、いつでも良いゾヨ」


 呪文を唱え、噴射ボタンを押した。


 ピンクのフリフリのドレスを着た小太りのおじさんが百人現れた。


 そして、釣りを始めた。


「私たちはどうするのでヤンス?」


「モザイクをかけて、近くで待機だ」


「了解であります」



 イケメンお兄さんたちが、普通に釣りをしている。


 かなり釣れているなぁ。


 さすがはコロモの竿とルアーだな。


「全然来ないキュ」


「デスーヤはどうしたんだろうな?」


「わたくしの電球が、時々海面から顔を出して、こちらを見ていると言っているのです」


「そうなのか? なら、もう少し待ってみるか」


「早く来いキュ!」



「もうすぐ一時間経過するのです」


「ああ、そういえば、この魔法は一時間で消えてしまうんだっけ?」


「うむ、その通りゾヨ。釣りをやめさせるゾヨ」


「結局、来なかったでゴザル……」


「なんで来なかったのキュ?」


「わたくしの電球が、あまり美味しそうではなかったからだと言っているのです」


「ええ…… ゼイタクなヤツだなぁ」


「まったくねッピ」



「さて、どうしようか?」


「ゼーランのマネキンに服を着せて、置いておくというのはどうッスか?」


「わたくしの『脱ぎたくなる能力』に服を着せる気ですのっ!? あり得ませんのっ!!」


「まあ、確かにそうだな」


「も、申し訳ないッス…… 今の発言は撤回するッス……」


「分かっていただけたのなら、それでいいですのっ」



「なら、ここは私の『恋愛に必要な道具を出す能力』で人形を出すのだよ」


 レーアさんが俺の等身大人形を出した。


「ええっ!? なんでそんなの出せるんだよ!?」


「抱き枕にするとか、いろいろと使い道があるのだよ」


「レーアさん、それ今夜、貸して欲しいわッピ!」

わらわにもお願いねニャ!」

「私もいるでヤンス!」

「私もッスわ!」

「お姉さんも欲しいわ」

「ワタクシは、もっと攻めた格好のヒモノ様が良いですわ!」


「皆さん、それはいけませんでございますよ! そんなことをするくらいなら、ヒモノさんのテントに突撃して、生殖活動をしてくださいでございます!!」


「まったくもってその通りでげすぜ!」


「それもそうですわね! もっと攻めなくては!」


「お前ら、何言ってんだよ!?」


「不潔な思考が発生しましたね! 洗浄します!!」


「服や体がまったく傷付かない鼻フック、剣山、すねにぶつかるスネーク、超激しい腰痛、足の小指に激突するタンスもどうぞでござんす!!」


「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」」


 ぬるま湯をぶっかけられた後、鼻の両穴を思いっ切り上に引っ張られ、尻に剣山をぶつけられ、両すねに何かがぶつかり、腰がすさまじく痛くなり、両足の小指に何かをぶつけられた。


 おしおき六連打かよ……


 ひどすぎるだろ……



 俺の人形を浜に置いた。


「よし、では、また戦闘ができる面々とチカさんは周囲の警戒、他のみんなは釣りをしてくれ」


「分かったわジナ」



「あっ、またマイタが釣れたわニャ」


「タァテウオーが釣れたでヤンス!」


「フトリース・ギヒーラメが釣れたわルレ!」


「デスーヤの方は、サッパリ釣れないな……」


「どうやらヒモノさんも美味しくなさそうだと判断されたようなのです」


「俺もダメなのかよ!?」


 なんてゼイタクなヤツらなんだ!?


 メンドクセェな!?

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