第413話 野心ありすぎ

「今の発言は気にしなくて良いわよッピ!!」


「は、はい、分かりましたチセ……」


「ところで、ここで何があったのでヤンス?」


「この国の皇帝『ヤシンア・リマクルゾー三六世』が、戦う力を持った者たちを全員連れて、未開の領域の探索に行ってしまったのですマチ」


 野心ありまくるぞー!?


 すさまじく野心家っぽい名前だな!?


「その結果、町を守る者がいなくなり、ミョガガベに攻め込まれ、この有様というわけですジナ」


 そうだったのか。



「ひどすぎる皇帝ねッピ!」


「まったくねニャ! 国民をなんだと思っているのかしらねニャ!」


 国民を洗脳していた、お前らが言うのか!?



「なぜ皇帝は、そんなことをしたのッスわ?」


「そこは不明ですチセ」


「ただ、皇帝はものすごい野心家でしたよジナ」


 名前通りの人なのか。



「誰も反対しなかったのッスわ?」


「戦う力を持った者たちは、誰も反対していなかったようですマチ」


「戦えない者たちは反対していましたが、力で抑え込まれてしまいましたジナ」


 非戦闘員の中に、家族とかいなかったのだろうか?


 おかしな話だな。



「ルレテースとクテェルカは、反対しなかったのニャ?」


「確かしなかったわねルレ」


「なぜかしようという気にならなかったような気がするわクテェ」


「ハッキリしない答えねッスわ」


「なぜか、その時のことを、あまり覚えていないのよルレ」


「いつの間にか、出発しちゃっていたのよクテェ」


「これは洗脳タイプの特殊能力ッスかね?」


「そのようでありますね」



「そんな能力を使うなんて、ひどい皇帝ねッピ!」


「まったくねニャ!」


 だから、お前らが言うなっての!!



「ルレテースたちは、これからどうするんだ?」


「もちろん、ヒモノさんの妻になっていただきましょうでございます!!」


「その方が良いでげすぜ!!」


「不潔すぎるので、洗浄します!!」


「服や体がまったく傷付かないタライ、ハサミを持った生物、足の小指に激突するタンスも付けるでござんす!!」


「「「ぬわあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」」


 ぬるま湯をぶっかけられた後、頭頂部にタライをくらい、鼻と頬をザリガニクワガタに挟まれ、両足の小指に何かをぶつけられた。



「他の町まで送っていこうか? どこか住みやすいところはないか?」


「この世界には『ゲビラァザゼメ帝国』しかないのよルレ」


「えっ!? 世界を征服したのか!?」


「ええ、そうよルレ」


 ゲビラァザゼメ帝国、すごいな!?


「だから、他の町も同じような状況だと思うわクテェ」


「チカさん、どうなんだ?」


「わたくしの電球が、クテェルカさんの推理は当たっていると言っているのです」


「そうなのか。なら、他に生き残っている人はいないのか?」


「残念ながらなのです」


「そうか……」



「これはヒモノさんの妻になるしかありませんでございますね!!」


「歓迎するでげすぜ!」


「なんでそうなる!? 人の住んでいるところなら、他にもあるだろ!!」


「いえ、妻になりますマチ」

「私もなりますチセ」

「私もですジナ」


「はぁっ!? 何言ってるんですか!? ついさっき会ったばかりで、名乗ってすらもいないじゃないですか!?」


「それもそうですねマチ。まずは自己紹介をしましょうマチ」


 えっ!?

 まずは、そっちなのか!?


 まあ、いいか。



「私は『マチエーザ・ゼユゼレパ』と申しますマチ」


「長女の『チーセハヒ・ゼユゼレパ』ですチセ」


「次女の『ジナクーロ・ゼユゼレパ』ですジナ」


 セカンドネームが同じだな。


 やはり姉妹なのか。


「ということは、マチエーザさんが三女なんですか?」


「いえ、私はチーセハヒとジナクーロの母ですマチ」


「ええっ!? 母親なんですか!?」


 チーセハヒさんとジナクーロさんは、成人してそうなのに!?


 ちょっと若すぎないか!?


「マチエーザさんは、フーカさんの包帯を全身に巻かれた直後に、マイカさんの回復魔法を受けたら、若返ったのよルレ」


「元々は年相応の見た目だったのに、驚いたわクテェ」


「そんなことが起こったのか!?」


「ええ、起こったのよぉん」


「そ、そうなのか……」


 フーカとマイカの能力、すごすぎだろ!?


 あれ?

 もしかして、俺たちは老衰死しなくなったのか!?


 ヤバくない!?


「ふむ、なるほど、では、老いた雌を見つけた時は、フーカさんとマイカさんに若返らせてもらいましょうでございます」


「なんか問題が起きそうだから、やめておけ!」



 その後、俺たちも自己紹介をした。



「私たちは妻になるのですから、敬語は不要ですよマチ。名前も呼び捨てで構いませんマチ」


「ああ、分かったよ。俺のことも好きに呼んで良いぞ。敬語も不要だ」


「分かったわチセ」


「そうさせてもらうわジナ」


「私は普段から、このような口調なので、お構いなくマチ」


「分かったよ」



「それで、なぜ妻になろうとしているんだ?」


「『ラエガリーガ教』には『強くて善良な異性がいたら、結婚しておいた方が良いんじゃない?』という教えがあるのですマチ」


「今は、その教えを守った方が良いと思うわチセ」


 ええっ!?

 なんじゃそりゃぁっ!?


「私もヒモノさんの妻になるわルレ」


「私もなるわクテェ」


「君らまで、何言ってんだよ!?」


「ヒモノさんたちと一緒にいる方が、楽しい人生が送れるような気がするわルレ」


「まったくねクテェ」


「そうなのか!?」


「その通りだと思うでゴザル!」


「美味しいものをたくさん食べれて、楽しいキュ!」


 危険地帯を旅しているのに、のんきすぎないか!?



「今回は妻が増えないと思っていたのに、やっぱり増えることになるのねッピ……」


「もうあきれるしかないわねニャ……」


「ああ、やれやれでヤンス……」


「これは俺のせいじゃないだろ!?」


「いえ、これは不潔なヒモノさんのせいですね! 洗浄しなくては!!」


「人に投げ付ける用のパイと、服や体がまったく傷付かない足の小指に激突するタンスもおまけするでござんす!!」


「ぐああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


 顔面にパイをぶつけられた後、洗浄されて、両足の小指に何かをぶつけられた。

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