第384話 修行終了

「さあ、ヒモノ、欲を解放しろでげすぜ!」


「そして、生物としての本懐を遂げるのですでございます!!」


 マ、マズい!?


 い、意識が……


 このままでは、みんなが……


「むっ、こいつはイリーセの!? ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


「あああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


 ノゾミさんとセイカさんが、いきなり現れたザリガニクワガタに鼻と頬を挟まれた。


「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


 さらに、俺までザリガニクワガタに鼻と頬を挟まれた。


 そして、体が元に戻った。



「なぜイリーセさんの能力がいたのでございますか?」


「ヒモノの大旋風で動けなくなっていたはずなのにでげすぜ」


「このような事態を想定して、あらかじめ服や体がまったく傷付かないハサミを持った生物を出しておいたでござんす」


「そうだったのか。助かったよ、イリーセさん、ありがとう」


「どういたしましてでござんす」



「余計なことをでげすぜ」


「もう少しで生殖活動ができたのにでございます」


「もう一回、挟まれるでござんす!」


「「ぬわあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」


 またノゾミさんとセイカさんが、ザリガニクワガタに鼻と頬を挟まれた。



「レイリィセ、これで修行終了で良いんだよな?」


「ええ、そうよミィ。お疲れ様ミィ」


「ああ、短い間だったが、世話になったな。ありがとう。それじゃあ、出発するか」


「ええ、行きましょうミィ!」


「えっ!?」


「どうしたの、ヒモノさんミィ?」


「レイリィセも付いて来るのか?」


「当然でしょミィ」


「いや、それは危険だぞ! やめておけよ!!」


「ヒモノさんたちは世界中の美味しい食べ物と、女と、信者を手に入れるために、旅をしているんでしょミィ? 私もそこに加えてよミィ」


「違うっての!?」


「いいえ、合っていますでございます」


「その通りキュ!」


「そうですよ、我が神よ」


「美味しいものを食べまくるでゴザル!」


「何言ってんだ!? 肝心なのが入っていないだろ!?」


「そうざますよ! 私ちゃんを出すという最大の目的を忘れるなざます!!」


「悪を倒すという目的を忘れてはいかんのである!!」


「食い物と女以外も手に入れるでげすぜ!」


「宮殿を建てて、一生ダラダラ暮らすのが目的でナンス!」


「地球に帰るのが最大の目的だっての!?」



「まあ、目的がなんであれ、私も付いて行くわよミィ! 大旋風を使える男を逃す道理はないわミィ!!」


「本当に危険なんだぞ。未開の領域に行くんだからな」


「それでも行くわよミィ!」


「この修行場はどうするんだよ?」


「兄と義理の姉たちが後を継ぐ予定だから、なんの問題もないわよミィ」


「えっ? そうなのか?」


「ええ、そうなのよミィ」


「お兄さんたちを、一回も見なかったぞ」


「今は旅行に行っているのよミィ」


「そうだったのか」



「俺たちに付いて来たら、もうここに帰って来れるか分からないんだぞ。家族がいるのに、付いて来るのか?」


「問題ないわミィ。不仲だしねミィ。義姉さんたちには、ことあるごとにさっさと出て行けって、言われているしねミィ」


「そうか」


 嫁と小姑の問題か。

 大変なんだな。


「ヒモノさん、これは連れて行くしかありませんでございますよ」


「そうでげすぜ。まあ、もっとも、連れて行かないと言っても、我輩たちが連れて行くでげすがね」


「はいはい、分かったよ。付いて来たいなら、来れば良いよ」


「ありがとう、末永くよろしくねミィ!」


「ああ、よろしく」



「レイリィセは何ができるんだ?」


「家事ならひと通りできるわミィ」


「特殊能力や魔法は?」


「『ハーレム力を感じる能力』『余計な語尾が付かない、あまりお買い得ではない通訳翻訳能力』『聖剣ナオントリィコーを鑑定する能力』を使えるわよミィ」


「戦闘能力はあるのか?」


「ないわねミィ」


「それなのに、危険地帯に付いて来るのか!?」


「付いて行くわよミィ! 私も守ってねミィ!!」


「ええ……」


 無謀だなぁ……



「ああ、それから、ヒモノさんが修行している間に、鳥類になる訓練をしておいたわよミィ!」


「えっ? そうなのか?」


「そうッスよ! レイリィセは立派な鳥類ッス!」


「それと、彼女はヒモノ教の信者にもなっています、我が神よ」


「荷物もまとめて、収納してもらったから、いつでも出発できるわよミィ!」


「あ、ああ、分かったよ……」


 行動が早いなぁ……



「では、行こうか」


「ヒモノさん、あまっているお金を使い切った方が良いんじゃないのッピ?」


「そうだな。持っていくわけにもいかないしな」


「何に使うのでルーウ?」


「食料とレイリィセの服などを買っても、かなりあまるよな?」


「ええ、あまりそうねッピ」


「何か欲しいものはあるか?」


「宿に泊まれるだけ、泊まりたいでナンス!」


「賛成ですでナス~」


「何言ってんだ! 俺が修行している間、散々ダラダラしていただろ!?」


「もっとしたいでナンス!」


「体がなまるから、却下だ!!」



「ヒモノさん、本が欲しいよでルーエ」


「ああ、良いよ。他に何かあるか?」


「そういうことなら、高級レストランにでも行ってみるかでルーア?」


「ふむ、それも良いかもな」


「後は、生殖活動用の服が必要でございますね」


「いや、それはいらんだろ!?」


「いえいえ、必要でございますよ」


「いらないって!」


「また不潔な話を! 洗浄します!!」


「服や体がまったく傷付かないタライもくらうでござんす!!」


「「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」


 洗浄された後、頭頂部にタライをくらった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る