第382話 大旋風の修行

「では、次は大旋風の修行をしましょうミィ」


 いよいよか。


「まずは大旋風の説明をするわよミィ。大旋風とは聖剣ナオントリィコーを回転させると、なぜか女性が魅了されるという特殊能力のことよミィ。なぜか世間では、聖剣の奥義と認識されているわミィ」


 何度聞いても、訳の分からないものだな。


「大旋風を見た女性が、たまに興奮しすぎて心臓が止まったり、鼻血を出しすぎたりして死んでしまうことがあるわミィ」


 剣が回転しただけで、なんで死ぬほど興奮するんだ!?


 男の俺には、一生理解できないのかもしれないな。


「説明は以上よミィ。では、実際に使ってみましょうかミィ。準備するから、ちょっと待っててねミィ」


「ああ、分かったよ」


 レイリィセが修行場の奥に向かって行った。



「お待たせミィ」


 レイリィセが白い成人女性型マネキンのようなものを置いた。


「それはなんだ?」


「これは『大旋風測定器』よミィ。これに向かって大旋風を使うと、威力が分かるのよミィ」


「へぇ、そんなのあるんだ」


「それじゃあ、ヒモノさん、全力で大旋風を使ってみてミィ」


「ああ、分かった」


「他のみんなは、剣が見えない位置まで下がってねミィ」


「了解ッスよ」



「では、やるか」


「うむ、我が力を見せてやろうですだぜ!」


「やってやるだぜだぜ!」


「私も全力を出しますます!」


「よし、いくぞ!!」


 俺は神極聖魔剣しんごくせいまけんを、思いっ切り回転させてみた。


 すると突然、大旋風測定器が真っ赤になり、けたたましい音とともに破裂した。


「な、なんだ!? なんで破裂したんだ!? レイリィセ、あれはどういうことなんだ!?」


 俺が振り返ると、なぜか女性たちが座り込んでいた。


 みんな顔が紅潮していて、呼吸が乱れている。


 非常に色っぽい。


「みんな、どうしたんだよ!?」


「ヒモノさん、カッコイイのです……」

「ヒモノさん、魅力的すぎるわッピ……」

「ヒモノの後ろ姿、素敵すぎるわニャ……」

「ヒモノさん、生殖活動するでヤンス……」

「ヒモノさん、ベッドに運んで欲しいッスわ……」

「ヒモノ様、この場でワタクシを攻めてください……」


「何を言っているんだ、お前らは!?」


「これはおそらく大旋風の余波でげすぜ」


「直接見ていないのに、このようなことになるとは、すさまじい威力でございますね」


「ええっ!?」


 ただ回転させただけで、こんなことになるのか!?


 神極聖魔剣玉しんごくせいまけんぎょく大旋風だいせんぷう、ヤバすぎだろ!?



「ノゾミさんとセイカさんは、無事なんだな」


「我輩たちは、この手の能力に耐性があるみたいでげすぜ」


「ああ、そういえば、愛の聖水の時もそうだったな」


「ワタシも無事ですよ」


「私様もでござんす」


「セレンさんとイリーセさんもか。さすがだな」


「ありがとうございます。では、皆さんを洗浄しましょうか」


「ああ、頼むよ」


「もちろん、不潔なヒモノさんもですよ」


「なんでだよ!?」


「不潔な能力ばかり身に付けるからです! では、洗浄します!!」


「服や体がまったく傷付かない辛い粘液もおまけするでござんす!!」


「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!」」」


 ぬるま湯をぶっかけられた後、顔面に辛い粘液をぶつけられた。



「みんな、正気に戻ったか?」


「ええ、問題ないわミィ」

「わたくしも正気に戻ったのです」

「あーしも戻ったッスよ」


 他のみんなも戻ったようだ。



「レイリィセ、なんで大旋風測定器が破裂したんだ?」


「分からないわミィ。こんなの初めて見たからミィ」


「本来はどうなるんだ?」


「色が変わるだけよミィ。測定器がピンクになると、適度に女性を魅了できるのミィ。赤くなると、死んでしまう可能性があるのよミィ」


「そうなのか。なんで剣を回転させただけで、色が変わるんだ?」


「そこは分からないわミィ。測定器の製造元に問い合わせても、教えてくれないと思うわよミィ」


「そうか」


 訳が分からないなぁ。



「まあ、原因はなんであれ、さっきの大旋風を人に使ったら、確実に死んでしまうわミィ。絶対に使っちゃダメよミィ」


「ああ、分かったよ。大旋風は永久封印決定だな」


「いや、それはもったいないわよミィ。修行の費用も払ったんだから、制御できるように練習していきなさいよミィ」


「まあ、確かにそうだな。分かったよ」


「ああ、そうそう、備品を破壊したから、弁償代を払ってもらうわよミィ」


「うっ、まあ、仕方ないか。いくらなんだ?」


「一千万ワボゾヨよミィ」


「あれ、結構高いんだな……」


「そうなのよミィ」


 お金を払った。



「それじゃあ、別の測定器を持って来るわミィ。次は壊さないようにしなさいよミィ」


「ああ、分かったよ。ところで、手加減って、どうやるんだ?」


「回転速度を落とすと、威力が落ちるわよミィ」


「へぇ、そうなんだ。分かったよ」



 レイリィセが大旋風測定器を持って来てくれた。


 では、やってみるか。


 俺は神極聖魔剣しんごくせいまけんを、ゆっくり回転させてみた。


 大旋風測定器がほのかなピンク色になった。


「ヒモノさん、それは手加減しすぎよミィ!」


「そうか? なら、もう少し速度を上げるか」


 回転速度を上げた。


 その直後、大旋風測定器が真っ赤になり、破裂した。


「あっ!? しまった!?」


「今度は上げすぎねミィ」


「意外と難しいなぁ……」


「もっと練習するしかないわねミィ」


「そうだな」


「では、弁償代ねミィ」


「分かったよ……」


 お金を払った。

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