第341話 御利益あった?

「お前ら、何やってんだ!?」


「おはようございます、我が神よ。見ての通り、信者たちが祈っているところですよ」


「ええっ!? もしかして、みんな信者になったのか!?」


「はい、その通りです、我が神よ。皆さん、勧誘したら、快く入信してくださいましたよ」


「なんでそんなことしたんだよ!?」


「ワタクシには御利益があるし、ヒモノさんは強化されるのでしょうッピ? お得じゃないッピ。入らない理由がないわッピ」


「まあ、確かにそうだけど」


「やらなきゃいけないことは祈ることだけだし、いろいろ良いことがあるんだから、入信するしかないわよニャ!」


「そうでヤンス!」


「そ、そうか……」


 そういうことなら、いいか。



「ヒモノさん、信者が増えた効果はあったのッピ?」


「ん? そうだなぁ? そういえば、体が軽くなった気がするな」


「わたくしの電球が、それは強化されたからだと言っているのです」


「良かったでヤンス!」



「みんなの方はどうなんだ? 御利益はあったのか?」


「うーん、よく分からないわねニャ」


「私もッスわ」


「そうか」


 まだ祈り始めたばかりだからかな。



「お姉さん、また聖水を飲みたくなっちゃったわ」


「ワタクシもいただきたいですわ」


 フーカとルメーセが抱き着いてきた。


「ワタクシも飲みたいわッピ」

わらわも飲むわニャ」

「私もでヤンス」


「はいはい、分かったよ」


 聖剣の分身から、愛の聖水を出した。



「それはなんですか、我が神よ?」


「美味しくて、美容にも良いヒモノの聖水でげすぜ」


「さあ、ミィカさんも飲みましょうでございます」


「おい、やめろ!?」


 ノゾミさんとセイカさんが、ミィカに愛の聖水を飲ませた。



「これがヒモノ神の聖水…… 素晴らしい、さすがは我が神です……」


 ミィカが恍惚こうこつとした表情で、聖剣キノコの先端をなめている。


 ああ、愚息にエネルギーがチャージされていく!?


「これは不潔ですね! 洗浄します!!」


「服や体がまったく傷付かないハサミを持った生物もどうぞでござんす!」


「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」」


 洗浄された後に、ザリガニクワガタに鼻と頬を挟まれた。



 支度を済ませた。


「では、出発しようか」


「ええ、そうしましょうッピ!」


 俺たちは飛び立った。



 一七階にやって来た。


 周囲は一面スカイブルーだ。


 所々に白い雲のようなものがある。


 天井はいつものように、所々白く光っている。


「なんだここは? 空みたいな場所だな」


「わたくしの電球が、ここは全面に空の絵が描かれている迷路状の洞窟だと言っているのです」


「へぇ、そういう場所なのか」


「なんだかピンクの階みたいッスね」


「そうだな」


 あれは九階だったな。


「ここには、水色の敵やわながあるのかもしれないッスね」


「ああ、そうだな。気を付けよう」



「天井がない空って、こんな感じなのッピ?」


「ああ、晴れている昼間はな」


「へぇ、そうなのニャ」


「とってもキレイキュ!」


「まったくでゴザル!」


「実に芸術的だねでロロ~!」


「これはメモとスケッチをしなきゃねでアメ~!」


「画~さんも描くでごじゃんす!」



「ここには、地球に帰れそうなところはあるか?」


「いいえ、なさそうなのです」


「そうか……」



「では、先に進むとしようか」


「ええ、そうねッピ」


 俺たちは飛び立った。



「ヒモノさん、あそこに宝箱が四つあるのです」


 チカさんが地上を指差しながら、そう言った。


「えっ? ああ、確かにあるな」


「周囲と同じ色をしていて、分かりづらいわねッピ」


「そうッスね」


「あれらには、わなが仕掛けられているのか?」


「いいえ、ないようなのです」


「なら、開けてみようか」



 俺たちは地上に下りた。


 そこには高さ八〇センチくらい、幅一メートルくらい、奥行き七〇センチくらいの宝箱がふたつ置いてあった。


「それじゃあ、開けてみるキュ!」


「ああ、そうだな」


 俺は宝箱を開けた。


 そこには、片側に毛玉のようなものが付いたスカイブルーの棒が入っていた。


「おおっ、怪しい宗教の神をやっているド変態ドスケベのヒモノよ、よくぞ見つけたざます! それはレインボーアフロッドざます!」


「うるさいぞ、ユモア!」


「ユモアさん、ヒモノ教は怪しくありませんよ」


「ヒモノが怪しいから、怪しいざます!」


「やかましい!」



「それで、これはなんというアフロッドなんだ?」


「それは『スカイブルーアフロッド』ざますよ!」


「そうなのか。青いヤツは、初めて手に入れたな」


「そうざますね」


「ユモアはまだ出て来れないのか?」


「まだまだざますね! ヒモノ、もっと精進するざます!!」


「はいはい、分かったよ」



 では、次だ。


 俺は宝箱を開けた。


 そこには、クリアスカイブルーのとげ付き肩パッドが入っていた。


「ほう、半透明のとげ付き肩パッドか…… なかなか面白いな。とげの鋭さも良い感じだ」


「そうだな。では、これはステーさんにあげるよ」


「良いのか?」


「ああ、もらってくれ」


「ありがとう、ヒモノ!」


「さっそくヒモノ神の御利益がありましたね」


「ああ、そうだな。ヒモノ教に入って良かった」


「そ、そうか……」


 本当に御利益なのだろうか?


 まあ、いいか。


 ステーさんがうれしそうだしな。

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