第336話 山→まんじゅう

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」


 突然、なめし革丼の方から雄たけびが聞こえてきた。


 な、なんだこの声は!?


 あの丼の中に誰かいるのか!?


 そう思った直後、丼の中にあったなめし革のようなものが吹き飛んだ。


 そして、丼の中から何かが飛び出し、俺たちの前に下りた。


 それは、巨大な茶色い半球型のまんじゅうのような何かだった。


 大きさは直径二メートルくらい、高さ一メートルくらい。


 宙に浮いている。


 丼の中に、あんなヤツが入っていたのか!?



「よくもやってくれたなぁマンジュー。部下たちのかたき、討たせてもらおうかマンジュー!」


 まんじゅうのようなヤツがそう言った。


「あいつら部下だったのか」


「そうだマンジュー。契約したわけでもないし、言うことを聞くわけでもないが、部下だったのだマンジュー!!」


「何言ってんだ? それは部下じゃないだろ?」


「いいや、部下だマンジュー! 勝手に行動しまくっているけど、部下なのだマンジュー!!」


「それ完全に部下じゃないな」


「うるさいマンジュー! 細かいことに、いちいちツッコミを入れるなマンジュー!」


「いや、細かくはないだろ?」


「やかましいマンジュー! 変な格好の連中め、成敗してやるマンジュー!!」


「変な格好の連中じゃないッス! あーしたちは鳥類ッス!!」


「鳥さんだったのかマンジュー!? って、そんなのどうでもいいマンジュー! とにかく、ぶっ殺してやるマンジュー!!」



「ヒモノ殿、ここは私にお任せをであります!」


「ああ、頼む!」


「くらえであります!!」


 マモリさんがモザイクのプレートを、大量に撃ち出した。


「こんなもので、この私を倒せると思うなマンジュー!」


 まんじゅうのようなヤツは空中を高速で飛び回り、モザイクをすべて回避した。



「ならば、これはいかがですか!?」


 ルメーセがそう言うと、無数のひものような水着が現れ、まんじゅうのようなヤツに襲いかかった。


「甘い、甘すぎるマンジュー!」


 まんじゅうのようなヤツは、水着をすべて回避した。



「では、これでどうだ!」


 俺は操れるすべての聖剣を、まんじゅうのようなヤツに向かわせた。


「ほぅほぅ、ほ~さんも手伝うよ」


 リィホさんが黒くブ厚い本のようなものを、大量に撃ち出した。


「フハハハハッ、ぬるすぎるマンジュー!」


 まんじゅうのようなヤツは、聖剣と本のようなものをすべて回避した。



「ヒモノ殿、ルメーセ殿、リィホ殿、いっせいに攻撃するであります!」


「分かりましたわ!」


「ああ、分かった!」


「ほぅほぅ、分かったよ」


 俺たちはいっせいに攻撃した。


「そんなもの当たらんマンジュー!」


 まんじゅうのようなヤツは、すべての攻撃を回避した。



「くそっ、なんて速さなんだ!?」


「攻撃が当たらないであります!」


「ハーッハッハッハッハッ、この程度か、鳥さんどもマンジュー!? 次は私の番だマンジュー!!」


 まんじゅうのようなヤツが、俺たちの方に突っ込んで来た。


「ぐおっ!?」


 だが、まんじゅうのようなヤツは、マモリさんのモザイクの壁にはじき返された。



「くっ、防御はなかなかだな、鳥さんどもマンジュー!」


「それはどうも」


「だが、それだけでは勝てんぞマンジュー!!」


 まんじゅうのようなヤツが、また体当たりをしてきた。


 そして、またマモリさんのモザイクの壁にはじき返された。



 まんじゅうのようなヤツが、何度もモザイクの壁に体当たりをしているが、モザイクの壁はビクともしない。


膠着こうちゃく状態になったか。さて、どうしようか?」


「おっさん、ここは俺様に任せておきな!!」


「えっ? 何をするんだ、聖剣?」


「まあ、見てな!!」


 聖剣がそう言った直後、聖剣から水が出て来た。


 なぜかその水が人型になった。


 身長二メートルくらい、筋骨隆々の男性体型をしている。


 あれはもしかして、筋肉の聖水か?



「さあ、いきやがれ!」


 聖剣がそう言うと、水の筋肉がまんじゅうのようなヤツに向かって行った。


 あいつ、なかなか足が速いな。


 だが、まんじゅうのようなヤツに追い付けるほどではないぞ。


 聖剣は、あいつに何をさせる気なんだ?


「ふん、そんなノロマに何ができるマンジュー! まずはそいつから潰してやるマンジュー!!」


 まんじゅうのようなヤツが、素早く水の筋肉の背後に回り込み、体当たりをした。


 水の筋肉は転倒した。


「むっ、な、なんだマンジュー!?」


 なぜかまんじゅうのようなヤツが、水の筋肉にくっ付いているぞ。


 あれは何をやっているのだろうか?


「なんだこれはマンジュー!? ベタベタするマンジュー!? 体がくっ付いて離れんマンジュー!?」


「隙ありだぜ!!」


 聖剣がまんじゅうのようなヤツに突撃した。


「ブミィィィィイイィィィィイィィィイィィィッ!!!!!」


 聖剣がまんじゅうのようなヤツをぶん殴った。


 まんじゅうのようなヤツは動かなくなった。



「あれは倒したのかな?」


「わたくしの電球が、その通りだと言っているのです」


「そうか。良かった」


 今回のもなかなか手強かったな。



「聖剣、あれはなんだったんだ?」


「あれはこの間身に付けた『筋肉の聖水』だぜ」


「やはりそうだったのか。あれって、筋肉に取りつかれるんじゃなかったっけ?」


「ああ、そうだぜ」


「あれが取りつかれるということなのか?」


「そうなんじゃねぇか?」


「取りつかれるというよりは、くっ付いただけじゃないか?」


「細けぇことは、気にしなくても良いんじゃねぇか?」


「それもそうだな」


 気にしないようにしよう。

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