第323話 盾を作るために、草をすり潰す?

「空を飛ぶのは面白いですねでエルフッ!」


「ああ、素晴らしい開放感だでダエルッ!」


「それは良かったな」


「ヒモノさん、そろそろ暗くなってくるわよッピ」


「なら、今日はここで休むか」


「では、皆さん、洗浄しますよ」


「ああ、頼むよ」


 俺たちは洗浄してもらって、就寝した。



 次の日。


「ヒ、ヒモノ、また聖水を飲みたくなってきたッス……」

「わたくしもなのです……」

「お姉さんにもちょうだい…… なんでもするから……」


「ヒモノさん、ワタクシにも飲ませてくださいでございます」

「我輩も飲むでげすぜ」


「はいはい、分かったよ」


 俺は聖剣から愛の聖水を出した。



「ヒ、ヒモノさん、もっと、もっと聖水をくださいでエルフッ……」


「もっと飲ませてくれでダエルッ……」


「なんでメィロポマとカエゼーユが、聖水中毒になっているんだ!?」


「ワタクシが飲ませたからでございます」


「我輩も飲ませたでげすぜ」


「なんでそんなことするんだよ!?」


「仲間外れを作ってはいけませんでございます」


「何言ってんだよ!? 中毒にする方がダメだろ!?」


「いや、仲間外れの方が良くないでげすぜ」


「そんなわけあるか!?」


 って、そんな問答している場合じゃないな!


 さっさと治してもらおう!


「セレンさん、イリーセさん、あのふたりをどうにかしてくれ!!」


「ああ、清潔な聖水、美味しいです……」

「美味しすぎるでござんす……」


 セレンさんとイリーセさんは、聖剣キノコの傘の先端をなめていた。


 とても色っぽい姿だ。


 ああっ!?

 うちの愚息にエネルギーがチャージされていく!?



「不潔な思考を察知しました!」


「発作は治まったか、セレンさん!?」


「はい、洗浄します!」


「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


 ぬるま湯をぶっかけられた。



「セレンさん、俺じゃなくて、メィロポマとカエゼーユをどうにかしてくれ……」


「メィロポマさんとカエゼーユさんにも、愛の聖水を飲ませたのですか!? なんて不潔な!?」


「いや、俺が飲ませたわけでは……」

「問答無用! 洗浄します!!」


「ああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


 またぬるま湯をぶっかけられた。


 その後、メィロポマとカエゼーユも洗浄してもらった。


 メィロポマとカエゼーユは正気に戻った。



「メィロポマさんとカエゼーユさん、肌の調子はいかがでございますか?」


「肌ですかでエルフッ? なんだか艶がある気がしますねでエルフッ」


「私もだでダエルッ」


「愛の聖水は美容と健康に良いでげすぜ」


「そうなんですかでエルフッ」


「では、メィロポマさんとカエゼーユさん、美しくなった肌をヒモノさんに見せましょうでございます」


「ヒモノに感謝しつつ、服を脱ぐでげすぜ」


「おい、そこ、何を言っているんだ!?」


「あまりにも不潔ですね! 洗浄します!!」


「かき氷も付けるでござんす!」


「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」」


 洗浄されて、顔面にかき氷をぶつけられた。



「メィロポマ、カエゼーユ、聖水耐性は身に付いたのか?」


「なんですか、それはでエルフッ?」


「特殊能力だよ。ステータスに記載されてないか?」


「確認してみようでダエルッ」


 メィロポマとカエゼーユが、ステータスウィンドウを出した。



「『微弱な愛の聖水耐性』というものが記載されているなでダエルッ」


「私にもありますよでエルフッ」


「そうか。身に付けたか」


「これはなんなんだでダエルッ?」


「文字通り、愛の聖水に耐性ができるんだよ」


「そうでしたかでエルフッ」


「ところで、他の特殊能力はないのか?」


「『余計な語尾が付かない、あまりお買い得ではない通訳翻訳能力』というのがあるでダエルッ」


「私にもありますねでエルフッ」


「他には?」


「ないなでダエルッ」

「私もですでエルフッ」


「魔法欄に何か書いてないか?」


「そちらにもないなでダエルッ」

「私もそうですよでエルフッ」


「そうか」


 このふたりは、本当にまったく戦えないようだな。



 支度を済ませた。


「じゃあ、そろそろ出発するか」


「ええ、そうしましょうッピ」


「それじゃあ、能力を使うッスよ」


 俺たちは鳥類になった。


「なんともシュールな光景だなでダエルッ」

「確かにそうですねでエルフッ」


「そのうち慣れるよ」


「ええ、そうねッピ」

「もうこれを見ても、なんとも思わなくなったわねニャ」


「そういうものなのかでダエルッ?」


「そうだよ。では、行くか」


 俺たちは飛び立った。



 しばらく飛んで行くと、川があった。


 川幅は数メートルくらい。

 清流と呼んでも問題なくらい、澄んだ水が流れている。


 川原には小さな石が大量にある。

 その周囲に植物が生えている。


「このあたりに、生えているのかな?」


「探してみましょうでエルフッ」


「そうだな」



 俺たちは川原に下りた。


 そして、メィロポマとカエゼーユが植物を探し始めた。


「あっ、ありましたよでエルフッ!!」


「こっちにもあるぞでダエルッ!!」


「見つかったか!」


「はい、これですべてそろいましたよでエルフッ!」


「どんな植物なんだ?」


「これが『プッカイス草』ですよでエルフッ」


 小玉スイカがふたつ並んだような植物だな。


「これが『リシモモ草』だでダエルッ」


 緑色の桃の実みたいな植物だな。


「そして、これが『ウトーキ草』だでダエルッ」


 緑色の親指みたいな植物だな。



「この植物をどうするんだ?」


「すり潰して、雌の出汁と混ぜて煮詰めるんですよでエルフッ」


「そうなのか」


「さっそく作りましょうでエルフッ。ヒモノさん、すり潰す道具はありませんかでエルフッ?」


「では、薬研やげんをどうぞ」


 コロモが黒い船型の入れ物と、黒い軸の付いた車輪状のようなものを渡した。


「ありがとうございますでエルフッ」


 メィロポマが植物をすり潰し始めた。


 これって、盾を作っているんだよな?


 薬を作っているようにしか見えないな。


 なんでこれで盾ができるのだろう?


 世の中は不思議に満ちあふれまくっているなぁ。

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