第204話 こ、これが罠!?

 しばらく飛んで行くと、森の中にぽっかりと開けた場所があった。


 そこには、数センチくらいの大きさの赤い石のようなものが大量に散らばっている、大きな青い敷物が敷かれていた。


「なんだあれは?」


「わたくしの電球が、あれはわなだと言っているのです」


「そうなのか。どんな罠なんだ?」


「あの石のようなものを、素足で踏むと痛いのです」


「まあ、それはそうだろうな。 ……って、それだけなのか?」


「いいえ、まだあるのです」


「それはなんだ?」


「あれを素足で踏むと、体の血行が良くなり、冷え性、むくみ、だるさ、疲労が取れるのです」


 ん?

 それってメリットじゃないか?


「さらに、体内にたまった老廃物が排出される、リラックスできる、アンチエイジング、自然治癒力が増すといった効果もあるのです」


 メリット多くない?


 というか、それって足のツボをマッサージしているだけなのでは?


「さらにさらに、金運がほんのわずかに良くなるのです」


 金運!?

 なんで金運!?


 ただの足ツボマッサージではないのか!?


 意味が分からんぞ!?


「以上なのです」


「それは本当に罠なのか?」


「罠なのです」


「メリットだらけだと思うのだが?」


「それでも罠なのです」


 どこが罠なのだろうか?


「もしかして、あれを踏むと死ぬほど痛いとか?」


「いいえ、適度な痛みを感じるだけなのです」


「やっぱり罠ではないんじゃないか?」


「いいえ、あれは罠なのです」


「ええ…… なんでそうなるんだよ?」


「わたくしの電球が、そう言っているからなのです」


「そ、そうなのか……」


 意味が分からんな。



「ヒモノさん、あれを踏みに行ってみましょうよッピ」


「ああ、そうだな。行こうか」



 俺たちは地上に下りた。


 そして、人間に戻り、靴を脱ぎ、敷物の上に乗ってみた。


 うん、確かにマッサージのような適度な痛みを感じるぞ。


 結構気持ち良いな。


「少し痛いけど、気持ち良いわねッピ」


「ええ、そうねニャ」


 他のみんなにも好評のようだ。



「もう十分堪能したな。そろそろ行こうか?」


「ええ、そうしましょうッピ」


「社長、あの敷物を持っていった方が良いのではありませんか?」


「それは良い考えでヤンス」


「そうだな。では、拾っておこうか」


「分かりました」


 敷物を頭に収納した。


 では、出発するか。


 俺たちは飛び立った。



 しばらく進んで行くと、湯気が出ている池があった。


 大きさは直径数十メートルくらいだ。


「あれは温泉かな?」


「はい、そうなのです。そして、あれは罠でもあるのです」


 あの温泉が罠?


「どんな罠なんだ?」


「あそこは浅いので、足の先の方しか入れないのです」


「あれは足湯だったのか。それで?」


「それだけなのです」


「えっ!? それのどこが罠なんだ!?」


「全身で浸かろうと思っていた人は、がっかりしてしまうのです」


「……それだけなのか!?」


「いいえ、まだあるのです」


「何があるんだ?」


「冷え性の改善、リラックス効果、アンチエイジング効果、不眠解消、むくみ改善、免疫力アップ効果もあるのです」


 メリット多すぎ!?


「さらに、ほんの少しですが、金運も良くなるのです」


「なんで足湯で金運なんだ!?」


「そこは不明なのです」


「そ、そうなのか……」


 訳の分からないことだらけだな。



「まだ何かあるのか?」


「いいえ、以上なのです」


「そうか。これはもう罠ではないだろ」


「いいえ、罠なのです」


「なんでそれで罠なんだよっ!?」


「わたくしの電球が、罠だと言っているからなのです」


 意味が分からなさすぎるぞ!?


 どういうことなんだ、チカさんの電球!?


 質問してみたが、納得のいく回答は得られなかった。



「ヒモノ、あそこに寄っていこうでナンス!」


「良いですねでナス~。ヒモノさん、行きましょうよでナス~」


「ヒモノさん、私も行きたいわアル」


「わたしも行ってみたいわダネ」


 他のみんなも興味ありそうだ。


 仕方ない、寄っていくことにしようか。



 俺たちは地上に下りた。


 そして、人間に戻り、靴を脱ぎ、温泉に入ってみた。


 本当に浅いな。


 すねが少しかるくらいの水深しかない。


 温度はちょうど良いな。


 これはなかなか気持ち良いな。



「社長、近くに生えていた木で縁台を作ってみましたよ。お使いください」


「ああ、ありがとう、コロモ」


 温泉のふちに縁台を置いて、そこに座った。


 ちょうど良い高さで、素晴らしいな。


 いつも間に作ったのだろうか?


「皆さんの分もありますよ」


「おおっ、気が利くでナンス!」


「コロモさんは素晴らしい方ですねでナス~!」


 みんなの分まで用意してあるのかよ。


 本当に、いつの間に作ったのだろうか?


 仕事が早いなぁ。


 さすがは製作のステータス令嬢だな。



「ああ~、気持ち良いでナンス」


「のんびりできて良いですねでナス~」


「ヒモノ、ここでしばらくのんびりしていこうでナンス」


「一年くらい、のんびりしていきましょうでナス~」


「ああ~、良いわねアル」


「わたしもそれに賛成よダネ」


「何言ってんだ、お前ら! そんなにのんびりできるかっての!」


「「「「ええ~」」」」


「やかましいぞ!」


 怠け者が増えたな。



「ヒモノさん、そろそろ暗くなりそうなのです」


「なら、今日はここまでにするか」


「では、テントを張りますね」


「洗浄もしますよ」


「分かったよ」


 俺たちは温泉のふちにテントを張り、就寝した。

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