第146話 敵の葉と宝の葉

「皆さん、敵なのです!」


 飛んでいる最中、突然チカさんがそう叫んだ。


「えっ、敵!? どこにいるんだ!?」


「後ろなのです!」


 振り返ると、あかい球体が浮いていた。


 大きさは直径二メートルくらいだ。


「なんだあれは!?」


「あれは落ち葉が集まったものなのです!」


「あいつが敵なのか!?」


「はい! 皆さん、来るのです!」


 突然、球体から鳥のような頭や翼が出て来た。


 そして、猛禽類もうきんるいのような姿になった。


 な、なんじゃありゃぁっ!?


 なんか強そうじゃないか!?



「先手必勝であります!」


 マモリさんがいつもの四点セットを葉の鳥に放った。


 だが、葉の鳥は高速で飛び、攻撃をすべて回避した。


 なんて素早いヤツだ!?


 これは本当に強敵のようだな!!



 突然、葉の鳥の翼の先から炎が上がった。


 な、なんだあれは!?


 あいつは炎を出す特殊能力を使えるのか!?



 と思っていたら、あっという間に火が全身に回り、葉の鳥は燃え尽きてしまった。


 ええ……

 ナニソレェ……


 何やってんの?



「チカさん、なんであの鳥は燃えてしまったんだ?」


「あれはマモリさんのレーザーがかすったからなのです」


「そうだったのか。もしかして、あいつは燃えやすいのか?」


「はい、その通りなのです。あれは元々特殊能力を持った一枚の葉なのです」


「へぇ、そうなのか。まあ、とにかく、無事に勝てて良かった。マモリさん、ありがとう、お疲れさん」


「どういたしましてであります」



 そういえば、エクスレトとステータスウィンドウせんべいはどこにあるのだろう?


 探してみようか。


 地上で両方とも発見し、エクスレトを取り込んだ。


 ステータスウィンドウせんべいを見てみた。


 レベルは七百億。


 素早さと器用さが高めで、防御力は最低値だな。


 特殊能力は『空を飛べる能力』と『葉で体を作る能力』のふたつか。



 みんなでステータスウィンドウせんべいを食べてみた。


 なんの味もしなかった。


 あいつは食べられないみたいだな。



 さて、先に進むとしよう。


 俺たちは飛び立った。



 しばらく進んで行くと、森の中に少し長い草しか生えていない、ぽっかりと開けた場所があった。


 そこには、大き目の赤い宝箱に見えるものが置いてあった。


 幅と高さは一メートルくらい、奥行きは七〇センチくらい。


 金の装飾が施された豪華なものだ。


 しかも、三〇個も置かれているぞ!?


「チカさん、あれはなんだ?」


「見ての通りの宝箱なのです」


 おおっ、やはり宝箱なのか!


「開けても大丈夫かな?」


「危険な感じはしないのです」


 罠ではないのか。


 ということは、中身はお宝か!


 豪華な感じの箱だから、中身も期待できそうだな!


「では、開けてみようか!」


 俺たちは地上に下りた。



 宝箱を開けてみた。


 こ、これは!?


 中には紅葉した葉が大量に入っていた。


 ナニコレ!?

 なんでこんなに葉が入っているんだよ!?


 あっ、もしかして、これはクッション材みたいなものなのかもしれないな!


 よし、葉を取り出してみよう!



 宝箱の中の葉をすべて取り出してみた。


 残念ながら、他のものは入っていなかった。


 さらに、二重底になっていないか調べてみた。


 残念ながら、なっていなかった。


 なんだこれは!?

 なんで葉しか入っていないんだよ!?


 はっ、まさか、この葉は特殊なものなのか!?


 チカさんに聞いてみた。


「これには特殊な力はなさそうなのです」


「そうなのか……」


 なら、これは普通の葉なのか!?


 なんでわざわざこんなものを、こんな豪華な宝箱に入れているんだ!?


 訳が分からんぞ!!


「社長、この葉は良い肥料になりそうですよ。箱の方も何かに使えそうですし、もらっておきましょう」


「えっ、そうなのか? なら、いちおう持っていこうか」


 宝箱を頭に収納した。



 では、次の箱を開けてみようか。


 俺は隣にあった宝箱を開けた。


 中は先程と同じで、大量の葉が入っていた。


 他のものは入っていなかった。


 またかよっ!?


 次だ、次!!



 さらにその隣にあった宝箱を開けてみた。


 また大量の葉が入っていた。


 他のものは入っていなかった。


 なんでまたこれなんだよっ!?


 意味が分からんぞ!?


 もっと良いもの入れておけよ!?


 くそっ、他のも開けるぞ!!



 すべての宝箱を開けてみた。


 中には葉しか入っていなかった。


 なんでじゃぁぁぁっ!!!


 なんで全部、葉なんだよ!?


 もっと良いもの入れておけよ!!


 クソッタレがぁっ!!!!!



 ん?

 今、何かを蹴ってしまったような……


 こ、これは!?


 草の中にモミジのような鮮やかな赤色をした、先端にアフロヘアーのようなものが付いている棒が落ちていた。


 こいつはもしかして、アフロッドなんじゃないか!?


 なんで地面に落ちているんだ!?


 せっかく宝箱があるのだから、中に入っていれば良いのにな!?



「おおっ、愚かなるド変態女好き浮気者のヒモノよ、よくぞ見つけたざます! それはレインボーアフロッドのひとつ『オータムリーブスアフロッド』ざます!」


 ユモアの声が聞こえてきた。


「やはりそうだったのか。それにしても、また赤なのかよ。これで四本目だぞ」


「細かいことは気にするなざます」


「細かくないだろ。というか、レインボーアフロッドってなんなんだ? なんでユモアは、これを集めさせるんだ?」


「レインボーアフロッドざますか? それはただの面白い形の棒ざます。私ちゃんが集めている理由は面白いからざます」


「そうなのか……」


 面白いからか……


 さすがはギャグのステータス令嬢だな。



「ところで、ユモアはまだ出て来れないのか?」


「まだまだざますね」


「そうか。ところで、レインボーアフロッドって、後何本あるんだよ?」


「いっぱいあると、私ちゃんの勘が言っているざます」


「そ、そうなのか……」


 いっぱいなのかよ……


「何本集めれば良いんだよ?」


「いっぱいざます」


 いい加減だなぁ。

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