第132話 ツッコミとダジャレ

「ふむ、かき氷が顔に付いた状態で倒れているのは高評価ざますね。ただ、洗浄に比べると、やや地味なツッコミざます。もっと派手さが欲しいところざますね」


 おのれっ、ユモアめ!

 好き放題言いやがって!


「なるほど、派手さでござんすか……」


「イリーセさん!? そんなの真に受ける必要はないぞ!?」


「いいえ、周囲の声を真摯に受け止めるべきでござんすよ」


 律儀だなぁ。


 でも、そいつの声は聞く必要ないと思うけどな。



「ところで、イリーセさん、さっきのかき氷はなんなんだ?」


「あれは私様の特殊能力『感情を抑えることができそうなものを出す能力』でござんす」


「それはどういうものなんだ?」


「名前通りのものを出して、対象に射出する能力でござんす」


「なんでかき氷をぶつけたんだ?」


「頭が冷えそうだからでござんす」


 まあ、確かに冷えはするな。


 感情の方は知らんけど。



「他のものも出せるんだよな?」


「出せるでござんす。アドバイス通り、今度はもっと派手なものにしてみるでござんす」


 これがユモアの言っていた面白いことなのかな?



「イリーセさん、その能力は敵にも使えるのか?」


「使えるでござんすが、この能力で出したものは、対象を傷付けることができないでござんす。あくまでも感情を抑えるだけの能力でござんすからね」


「なら、あのふたりはケガをしていないのか?」


「していないでござんす」


「派手に倒れて、頭をぶつけていたのに?」


「間違いなく無傷でござんす。おや、どうやら気が付いたみたいでござんすよ」


「ああ、本当だ」


 セイカさんとノゾミさんが起き上がった。


 ちょっとケガがないか聞いてみようか。



 ふたりとも、どこもケガをしていなかった。


 本当に対象を傷付けないのか。


 すごいもんだな。


 まあ、戦闘では使えそうにないけど。


 いや、待てよ。


 隙を作ることはできるんじゃないかな?


 うん、やれそうな気がするぞ。


 後で試してみよう。



「イリーセさん、他に何かあるのか?」


「ないでござんす」


「イリーセさんは直接的な戦闘はできるのか?」


「どうでござんすかね?」


「試した方が良さそうだな。ちょっと素振りをしてみてくれないか?」


「分かったでござんす」


 イリーセさんが正拳突きをしている。


 うーむ、威力はなさそうだな。


 イリーセさんの身体能力は、あまり高くないようだ。


 どうやら前線には出さない方が良いみたいだな。



「では、イリーセさん、また誰かがバカなことをしていたら、能力で止めてくれ」


「分かったでござんす」


 これでセイカさんたちの暴走が止まるな。


 俺が洗浄される回数は激減するだろう。


 ああ、良かった良かった。



「さて、報告会を続けようか。次はケイカさんだな。どうだった?」


「身体能力が高まったのである! そして、より一層、悪の存在を感じるようになったのである!」


「そうなのか。身体能力だけじゃなく、悪を感知する能力も強化されたのか」


「うむ、すべては善行を積んだおかげである」


「そうだな。ケイカさんも毎日がんばっていたからな」


 努力が実を結ぶ、素晴らしいことだな。



「他に何かあるか?」


「これが出せるようになったのである!」


 ケイカさんが木製のように見える棒を取り出した。


 長さは一メートル半くらい、幅は五センチくらいだ。


「それはなんだ?」


「これは我の新能力『警策けいさくを出す能力』で出した警策である」


警策けいさくって、なんだ?」


「座禅の時に使う棒である」


「ああ、あれか。肩を叩くヤツか」


「その通りである」


 なんでこれを出せるようになったのだろう?


 もしかして、ぜんのステータス令嬢だから、ぜんに関係あるものが出せるようになったのか!?


 ま、まさかこれはダジャレなのでは!? 


 く、くだらないぞ!!


「これは何本出せるんだ? 大きさは変えられるのか?」


「出せるのは一本である。大きさは変えられないのである」


「武器として使えそうか?」


「それなりの硬さはある、使えなくはないのである」


「そうなのか」


 うーむ、なんとも微妙な能力だな。



「さらに、これも出せるようになったのである」


 ケイカさんが膳のようなものを出した。


 大きさは縦横二〇センチくらい、色は黒だ。


「これはなんだ?」


「これも我の新能力『膳を出す能力』で出した膳だ。出せるのは一膳のみ、大きさは変えられないのである」


「そうなのか」


 またぜんだから、ぜんなのか!?


 またダジャレなのか!?


 く、くだらない、なんてくだらないんだ!!


「これはどう使えば良いんだ?」


「普通に膳として使うのが良いのである」


「そうだな」


 これで殴ったり、投げたりしても、たいしたダメージにはならないだろうしな。



「まだあるのである」


 ケイカさんが何かを取り出した。


 あれはなんだろう?


 魚の尾ビレのように見えるぞ。


「それはなんだ?」


「これも我の新能力『前衛的な服を出す能力』で出した服である」


「服?」


 ケイカさんから服を渡された。


「こ、このおじさん人魚は!? オージー・サァンウ・オゥの着ぐるみじゃないか!?」


「その通りなのである。とても前衛的なのである」


「確かにそうだな……」


「今、出せるのは、この服のみである。サイズはある程度、変更可能なのである」


「ああ、分かったよ」


 って、なんでこんなの出せるようになったんだ!?


 ま、まさか、またなのか!?


 またまたぜんだから、ぜん衛的な服が出せるようになったのか!?


 またまたダジャレなのか!?


 くだらなさすぎるぞ!!!


 それに、こんな着ぐるみ、どうすれば良いんだよっ!?


 着たくなんてないぞ!!


 とりあえず、永久封印かな?



「最後は、これなのである」


 まだあるのか!?


 ケイカさんが金色の全身タイツのようなものを出した。


「これも我の新能力『全身タイツを出す能力』で出したものである。出せるのは、これ一着のみである。サイズはある程度、変更可能なのである」


 またかよぉぉっ!?


 またまたまたぜんだから、ぜん身タイツなのかよっ!?


 くだらないダジャレを四連発もすんな!!!


 そして、これも着ないから永久封印だな!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る