発掘13日目

【8月18日 日曜日 晴れ】  

 

発掘開始から13日目。


本日の朝食:覚えてない

     昼食:覚えてないぞう

     夕食:宴会

 

 今回は地味に本編の更新です。発掘二週目の実働最終日。この週は特に仲の良い友人が来ていた。来てたのだが、天候に恵まれずきちんとした発掘にはならなかったと記憶している。

 ついでに、同じ係の後輩の大半が別件でおらず、件の同僚は巣穴に籠っている。といわけで、実のところ専門部隊の実質的な指揮官を務めていたのが、ここ数日だった。いや、組織としてのリーダーはいるんだけどね?使い物にならないだけでね?


 この日、友人が掘っていた調査区北西の際にて、ほぼ完形の軒丸瓦が出土した。層位から後世に埋められたものという結論にはなったが、本年度の調査では最も見映えの良い成果なのは、間違いない。老師せんせい、お手柄です。

 で、最終日なので夜は宴会である。

 この日は昨年度の先輩方が見舞いに来てくれた。うちの組織の恒例行事みたいなものだ。あの人達けっこう騒ぐので、その日の宴会は大変賑やかなものになった。私も割りとそっちに行きたかったのだが、残念ながら同僚にお付き合いである。一応、その日の係の仕事を手伝ったお礼として、コンビニのエクレアをいただいた。きちんと同僚や後輩たちに分けた私偉い。


 友人とも面識のある同僚は大いにはしゃいでおり、持ってきてたカードゲームやSwitchなどで楽しそうに遊んでいた。素人相手にスマブラで大人気なく勝ちまくっていた。あと酔っててソクラテスラは無理です。

 黒い虫が襲ってきたりもしたが、酔っていたせいかやたら冷静に対処できた。お酒って怖い。

 酔いが回ったので外の風に当たりに行ったりもした。中のドンチャン騒ぎを嫌った連中が同じように煙草を吸ったりしていた。騒ぎすぎて向かいのお宅からクレームが来たり、それを言われた後輩が騒ぎの中心にいた先輩方に切れ散らかしたりしていた。静かに過ごそうとプレハブに行ったところ、同じように避難していた上司に遭遇していた。お酒での騒ぎが嫌いなんだと思う。で、何故か私が騒ぎに関連してると判断され、怒られた。怒られついでに雨戸を閉めて防音させるよう指示も頂いて撤収。結局頭は冷やせなかった。


 指示を遂行した後、友人二人を連れて夜の散歩に出た。コースは、真夜中の神社を抜け、古墳を回る感じだったと思う。夜の田舎は、思いの外賑やかだった。蒸し暑さと虫の声が体感的にも気温的にも五月蝿いのだ。それからは、街道に寝転ぶ友人を苦笑いしながら眺めたり、反対方向のコンビニまで足を伸ばして、なんか不良っぽいのとカップルっぽいのに遭遇したり。そんな感じの散歩になった。

 帰る頃には宿舎も消灯の準備に入っていた。まあ、カップルが二組ほど行方不明になっており、臨時の研修生みたいな方がプリプリ怒ったりもしていた。同い年のやたら所帯染みた言動は少し複雑だった。無事カップル1はコンビニで別れたとの連絡が、カップル2は女子宿舎の近くで彼女が泣くほど責め立てていたことが判明し、プリプリ怒っていた方を宿舎に送るついでに回収した。両者ともに迷惑をかけた自覚がない辺り、お里が知れる。


 布団を敷いたは良いが、それで「はいおやすみ」、とはならなかった。先輩方や上司は静かに続けており、今回の発掘の裏話や、同時進行していた相撲の送迎のお話などを聞かせていただいた。子曰く、発掘のシフト表は芸術なのだそうだ。

 そんな感じで、その日の夜は更けていった。

                                                 やる気ゲージ 80/100

ストレスゲージ 55/100

                 帰宅まであと17日。

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