発掘3日目 休日その②

【8月8日 木曜日 晴れ】  


本日の朝食:忘れた


     昼食:せいろ


     夕食:覚えてない


 休日その②、ついでにこの日も非公式休日。

 前日分で書いた通り、この日は昼前に面接である。

 詳細は省くが、地上40階相当のビルの一室で2対1(面接官)の形でやった。結論から言えば、とっても酷いありさまだった。まあ、初めての本格的な面接だったので、無理もないと言えなくはないが…。事前に考えてきた志望動機やら自己PRやらをしどろもどろに話し、面接官からの逆質問も碌に答えることができなかったと記憶している。私はボロボロだったが、面接官やもう一人の挑戦者とは終始和やかなやり取りをしていたと思う。

 それが終わると、駅前でもう1人と別れ、蕎麦屋に入った。現場では、人数や道具の都合で麺類が食べられない。貴重な機会だと思ったのだ。まあ、駅前だけあって無駄に高かったが。

 食事を終えると、現場の後輩から面白い連絡が入った。例の同僚がエンジンをふかしまくっている、という内容だ。

 今、現場では昨年度の現場の掘り戻しをしている。昨年度の掘削ラインには、土嚢が埋まっているので、それが出てくるまで掘り起こすのだ。が、同僚が担当していた場所では、掘っても掘っても土嚢が出てこなかったらしい。まあ、元々かなり深く掘り下げていた部分なので、そう言うこともあるだろう。実際、今部で測っても昨年のラインまでにはまだまだ足りていないのだ。では、同僚は何に対してエンジンをふかしていたのか?簡単に言えば、『土嚢に気づかずに掘り飛ばしたんじゃないか!』という可能性である。発掘が近づくにつれて、生来の心配性に拍車をかけていた彼は、既に物理的にあり得ない可能性について真剣に語る段階に至っていた。

 土嚢が、時代と共に腐って無くなることは否定できない。しかしそれは、数十年という月日を経ることが前提の話だ。昨年埋めた土嚢が1年経たずに無くなることはあり得ない。周りがそう言っても、彼の心配が留まることは無かったようだ。昨年の埋め戻し写真を持つ同輩や先輩方に、当時の現場写真を送るよう相当せっついたらしい。

 という訳で、その様子が余程ストレスになったらしい、同じ職場の後輩達から、報告という名の愚痴を聞いた私だった。正直「やれやれ、私がいないとダメな奴らだぜ」という、優越感的なものを感じたことは否定はしない。

 さて、どんなに愚痴られようが、今すぐ現場に戻る気などさらさら無い。面接会場の隣のビルで、引き揚げに関する展示を行っている博物館があったので、そちらに足を向けた。扱う内容が『引き揚げ』だけに、先の大戦の展示物がたくさんあった。引き揚げ船やシベリアでの生活を可動式で再現したブースなどもあり、狭いながら見ごたえのある展示だった。

 そんなこんなで、この日は終わりである。翌日は現場に間に合えばいいので、再びゲームなどをして夜更かしをした。こういった自堕落な生活、最高だと思う。




                                                 やる気ゲージ 87/100


ストレスゲージ 30/100


                 帰宅まであと27日。


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