銃の歴史

Black_Tie_Affair

第1話 フランス革命を成功させた道具とは?

1.支配とは「暴力」

フランス革命以前の「封建社会」や「絶対王政」の時代に、権力(政治力)を持っていた人々は「騎士(ナイト)」と呼ばれていました。厳しい軍事訓練を受け、馬に跨りながらも、武器(槍)を自由自在に使えることができます。


軍事訓練を受けること、また馬や装備品(武器)を整えるには、お金がかかります。騎士たちは圧倒的な財力と武力を背景に、自分の支配地域に住む農民などから税金を巻き上げていました。こうした時代を「封建時代」といいます。


こうした騎士の中から徐々に力を付け、広大な領土を支配し、多くの騎士を束ねる者が現れました。これを「国王」と呼び、国王が支配するシステムを「絶対王政(絶対主義)」と呼びます。


当時の国王や貴族たちが騎士(戦士)階級と呼ばれる所以です。トランプゲームのカードにある「キング(国王)」が剣を持っているのは、騎士階級のリーダーであることを表しています。


権力を獲得することは、圧倒的な暴力を所有できるかどうかなのです。


日本史で説明すると、騎士(ナイト)は「武士」であり、絶対王政とは「幕府」です。将軍(国王)とは多くの武士(騎士)を取りまとめる管理職(社長)のような立場になります。


2.国王に対抗できる「暴力」の獲得

そして「ある道具」の登場が、この絶対王政を打ち崩す要因となります。その道具とは「銃」です。銃の登場は歴史の進展に画期的な変化をもたらします。


フランス革命を先導した民衆たちは、身分制社会の中で、下層階級に位置する農民や商人たちが中心でした。今までは農民たちが反乱を起こしても、騎士階級である国王の圧倒的な武力によって鎮圧されるだけでした。


しかし、国王や騎士が横暴を振るった時代も終わりを遂げることになります。下層階級の人々が銃を手にすることで、国王に対抗する力を手に入れることができたのです。銃の登場は「フランス革命」や「アメリカ独立戦争」などの市民革命を引き起こす引き金になりました。


3.銃が「民主主義」を作った

1度やり方を覚えてしまえば、銃は誰でも扱うことができます。戦闘経験がない農民であっても、子どもや女性でも使うことができます。


銃は“素人”の戦争参加を可能にしたのです。軍事訓練を受けてきた騎士も銃という「飛び道具」の前では無力でした。


銃が市民革命を導き「民主主義」を作ったのです。


教科書にはこう書かれています。


「ラ・ファイエットが起草した『人権宣言』によって、身分制社会が否定され、人間は等しく平等であることが主張された。この宣言に多くの人々が賛同し、このエネルギーが革命を成功させた。」


こうした美談で、フランス革命は語られています。


しかし、実際は違います。


銃という権力(国王)に抵抗できる「暴力」を民衆が手に入れたこと。これが市民革命が成功した本当の理由になります。

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