第134話 しば犬の彼との生活
ついに、ついにこの日がやぅてきましたぁ〜!!
彼がうちに来てくれて六年の月日が経ちました。そしてその間、おもちゃは彼のそばにおいておくだけの生活もつづいてました。
なぜって、おもちゃを差し出そうと触った瞬間、彼が逃げてしまうからです。
で、考えました。彼の場合は、ボールやおもちゃ全般が怖いので、じゃあどうやったら彼が喜んでくれるのか。
確かに、以前よりはニコニコと笑っているような顔を見せてくれるようになりましたし、食欲も旺盛ですし、ほんのわずかに胃腸が弱そうという部分はあります。
さて、どうしたら、彼と遊ぶことができるのか?
考えて、考えて、おやつを一緒に取りに行く時に、ちょっとだけ振り向いてみました。そこからの全力疾走(家の中だけですが)。これがどうやら気に入ってくれたようで、ついに彼の方から直々に遊びのお誘いがきたのです。
私の顔を見て、顎をしゃくる。そして自ら先頭きって走り、私を待つ。そして、親父さんにはナイショということで、ひっそりとおやつを食べるのです。
これがまたかわいいんですよ。
見たところ、親父さんの方もちょくちょく彼に顎で指示されているようです。
いやぁ。君いつの間にか大人になったねぇ。えらいねぇ、なんて褒めております。
成犬だから懐かないのではなく、成犬だからこそ、きっとこわい思い出もたくさんあったはず。だからこそ、信用してもらえるまで時間はかかります。そのことを、六年前の自分に言い聞かせたいです。
つづく
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