第127話 今年も出ました

 それは、朝早くに親父さんが踏み台の下を掃除していた時でした。


 しば犬の彼の毛玉にからまった、怪しげな黒い物体。


 最初、親父さんはGに違いない、と腰が引けていたようですが、よく見ると、去年庭にいたコクワガタの角の小さいやつでした。


 お盆も過ぎましたし、どうして家の中に入ってしまったのかはわかりませんが、親父さんは外に放してあげました。


 めでたし、めでたし。


 いや、本当のことなのですよ。ただ、その間私はしつこい頭痛と戦っていたので、見てはいませんでした。


 それにしても最近のクワガタって、角が短いのですねぇ? 外来種かもしれませんが、あのフォルムでは、Gと間違われてしまいます。怪我もなく、放してもらえてよかったね。


 つづく

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