拝啓、あの夜を乗り越えられなかった者たちへ

@Cassiopeia_Cassiopeia

第1話 幼馴染としての壁

そう、僕はずっと前から君を愛するために生まれてきたのかもしれない。

そんな風にかっこつけて言えるほど、僕は素直じゃない。

でも、君への思いはきっと特別で、これまでも、これからも、君にしか向けられないものなんだろうね___________。


僕、美月奏楽が幼馴染である、谷島青葉への恋心を自覚したのは、ちょうど2年前、友達と恋バナで盛り上がっていた時だった。

元々親同士の仲が良かったということもあり、小さいころから兄弟のように生活していた。思えばあの時から、僕は青葉のことが好きだったのかもしれない。

でも。

「幼馴染」という枠を超えたくなくて。

「幼馴染」という枠を失いたくなくて。

臆病で素直になれない僕は、そんなことを伝えられずに今も心に秘めている。

たった一言、君に、

「好きだよ。」

そう言えばいいだけなのに。


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