第2章 停戦の使者
72. あれから1か月経過
あたしたちによる基地襲撃作戦も成功した。
そして、それによって物資が届かなくなったリードアロー王国の侵略部隊は、遂に戦線を維持できなくなり撤退したらしい。
と、言うのが1カ月前の情報。
いまでもリードアロー王国軍はマナストリア聖華国領内の砦に居座っている。
しかも、その周囲を囲んで攻めにくくしているのだからどうしようもない。
王配殿下に第一王子殿下、第二王子殿下の部隊も攻撃しているのだけど、戦果は上がっていないみたいだ。
じゃあ、あたしとヘファイストスの出番かと言えばそうでもないらしい。
前回の後続部隊攻撃で手の内が少しばれたため、あたしたちは秘蔵される事になったのだ。
結果として、あたしとヘファイストスはいつでも出撃できるよう、華都にある王城で待機しながら暇を持て余しているわけ。
今日もヘファイストスに乗って待機しているけど、ああ、退屈だ。
「ねえ、ヘファイストス。あなたなら砦を落とせるんじゃない?」
『そうだな。私なら一カ所はどうにかしてみせよう。だが、占拠されている砦は三カ所だろう? 私も三カ所同時に落とす事はできない』
「だよねぇ。エクスプロージョンバグスを使って落とす事は出来ない?」
『あれはあれでなかなか繊細なのだ。ごく弱い風に抵抗する事しか出来ない。つまり、風上に立てないことには有効利用が厳しい』
はあ、やっぱりダメか。
ほかにも武装はいろいろ用意しているみたいなんだけど、あくまでも対エンシェントフレーム戦を想定した物ばかり。
砦の制圧、それも砦を破壊せずに制圧する事を想定した兵器なんて作っていなかったんだ。
この1カ月間も兵器開発をしていたんだけど、頑強に守られている砦を一機で落とすこと自体が不可能っぽいんだよね。
さて、次の一手はどうしたものか。
「失礼いたします! アウラ様、こちらにいらっしゃいますでしょうか!?」
あたしが次を考えていると下からあたしを呼ぶ声が聞こえた。
見れば伝令の騎士がヘファイストスの足元にやってきている。
一体どうしたんだろう?
「いるわ。一体なんの用?」
「はい! 女王陛下が至急お会いになりたいとの事です! お急ぎください!」
女王陛下が?
何か戦況に変化でもあったのかな?
あたしたちの出番になるような事が起こったのだったらいいのだけど。
「わかった。すぐ行くわ」
「かしこまりました!」
あたしはヘファイストスを降りると伝令の騎士と合流して王城内部へと向かった。
さて、リードアロー王国はどう動いたのかしら?
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