夏の恐怖 パート2

犬 ラスク



散歩から帰り玄関で3匹の脚を拭く。

いつも顔を見てくるラスクが目を合わせない。


「ぼくのことはお気になしゃらじゅに」

「脚を拭いてくれてありがとうごじゃます」

「あ、お口の中でしゅか?お気になしゃらじゅ」

「それでは部屋にあぎゃりましゅね」


ちょっと待て。2度目は無いぞ。


「な、なんでしゅか!」

「な、なにもお口になんて!」

「か、か、かく、し、て……」


飼い主に口をこじ開けられる。


「あぁ...、ぼくの、ぼくのまんまるが...」


初夏になると青梅を持って帰ってきてしまう。

いつの間にか口に隠している。


「べ、別に食べるわけじゃないんです!」

「本当です!まるくて!可愛いからです!」


ラスクは隠すのが上手いので足拭きのついでに

お口の中をチェックされるようになった。


「あのまんまるは道によく落ちています!」

「ご自由にどうぞ!という意味です!」

「え?毒だからだめ?」

「わかりましたっ!」


蝉と青梅には注意だ。

散歩コースを変えよう。

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