第52話
【2日目戦闘開始前、右翼・プリン視点】
「味方右翼3000で敵左翼5000か」
「昨日よりはマシじゃない」
「数だけは、そうだな。でも今回は英雄がいる。俺が英雄の相手をすれば数で潰される。英雄を無視すればそれはそれで不利になる……厳しいが少しの時間でいい。マッチョ・変態仙人・チョコ・プリンで拳の英雄を押さえられないか?」
「拳の英雄次第じゃない?」
「あ、拳の英雄が前に出て来ました。アキ君を見てますよ」
「俺を、狙っているのか」
「今まであれだけ活躍したんだからそう考えるのは分かるわ」
アキは軍を潰す力を持っている。
それがバレている。
アキが爆炎ナイフを投げ、前線の陣を崩してから戦士部隊が突撃する事で昨日は不利な戦いを逆転させて圧倒的な勝利をもたらした。
アキは向こうにいる闇の英雄と同じで軍を殲滅する力を持っている。
敵がそう判断したんだ!
拳の英雄は1対1が強いマッチョと同じタイプに見える。
アキの力を集団殲滅だけだと敵は誤解している。
でも、アキの爆炎ナイフが無ければ右翼が潰されてしまう事に変わりはない。
「やりましょう。アキを狙って来るなら4人で止めやすくなるわ!」
「おう!俺が倒しちまってもいいんだよな!」
「ふぉっふぉ、マッチョ、大きく出たのう」
「そういう気持ちが大事って事だ!」
「うむ、やるとするかの!」
「4人の中で攻撃力が高いのはお嬢様です。お嬢様のソニックタイムを当てる隙をみんなで作りましょう!」
「チョコが一番倒す気満々じゃねえか!」
「そういう気持ちが大事ですよ!」
「頼む!爆炎ナイフで前線を崩したら戻って来る!」
アキが前線に走って行き、爆炎ナイフを投げると拳の英雄が迫って来た。
アキに迫る拳の英雄を私の手裏剣とチョコの矢で牽制する。
「当たらぬ!」
拳の英雄が手裏剣と矢を殴って止める。
「うおおおおおおおおお!!!マッスルナックル!」
「ふぉおおおおおおおお!!!双牙・斬!」
マッチョと変態仙人が拳の英雄に迫る。
「ナックル!ナックル!ナックル!ナックル!」
拳の英雄がナックルと言った瞬間に拳が光り、突き出した拳から吹き飛ばす力が発生し、マッチョと変態仙人が吹き飛んだ。
「うむ、我は拳の英雄、ゲンコツである!エース4人が相手であるか!だがたった4人で我を止めようなどと、虫が良すぎる!笑止である!!!」
「へ!だがゲンコツ、お前は足を止めたぜ!」
「ワシらの思惑通りじゃよ!」
「言っておくが先ほどのナックルは我の中で最弱の固有スキルにすぎん!」
「変態仙人、マッチョ、どいて!」
手裏剣と矢でゲンコツを攻撃した。
「連撃か、笑止!ナックルボム!」
連撃で放った矢と手裏剣だけでなく地面まで吹き飛んだ。
「これが中威力の固有スキルである!」
「おめえ、それが中威力か!化け物が!」
「さらにこの上の高威力攻撃があるのだ!そして躱す事も容易である!」
攻撃を続ける私とチョコの遠距離攻撃はほとんど避けられ、拳で破壊される。
これが拳の英雄!
まるでアキのような威圧感を感じる!
「お嬢様、行きますよ!」
チョコが矢筒を地面に落とした。
これが作戦の合図となる。
「うおおおおおおおおお!!!マッスルナックル!」
「ふぉおおおおおおおお!!!双牙・斬!」
「ナックルボム!」
2人が押し負けて吹き飛ぶ。
「まだです!ナイフダンス!」
「ナックルボム!ナックルボムううううううううううう!」
チョコと宙を浮くナイフが吹き飛ばされた。
私はゲンコツの死角から固有スキルを使った。
「ソニックタイム!」
「ナックルボム!」
ナックルボムの攻撃を何とか躱して刀で斬りかかる。
届く!
「ナックルフィニッシュ!」
届くと思った瞬間に大きな衝撃が迫って来る。
避けきれず左肩に攻撃を受けただけで私は回転しながら吹き飛ぶ。
「言い忘れていたが!3つの固有スキルすべてが連撃可能である!」
「も、もう一度です!」
「むう?変態仙人とマッチョと言ったか?やけに元気ではないか?」
「ふぉっふぉっふぉ、ワシのHPは常時3倍じゃ!」
「俺の筋肉は鎧と同じだぜ!」
「固有スキルか。だがHPが高くとも、防御力が高くとも、無敵ではあるまい!」
4人でゲンコツを取り囲んだ。
「無駄である!包囲にもならん!!!」
「マッスルナックル!」
「双牙・斬!」
「ナイフダンス!」
「ナックルフィニッシュ!ナックルフィニッシュ!ナックルフィニッシュ!」
3人が吹き飛ばされた。
私に攻撃させる為に隙を作った!
これを逃したらもうチャンスは無い!
私は死角から渾身の攻撃を発動する。
「ソニックタイム!」
「ナックルフィニッシュ!」
急反転して無理をして避けた!
でもその瞬間にゲンコツが笑った。
「ナックルフィニッシュ!」
私は、避けきれずに吹き飛ばされた。
体が、動かない。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!マッスルナックル!」
マッスルが血を流しながらゲンコツに迫る。
「ナックルフィニッシュ!ナックルフィニッシュ!」
ナックルが吹き飛ばされて動かなくなる。
「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!双牙・斬!」
「ナックルフィニッシュ!ナックルボム!ナックル!ナックル!」
ああ、私を助ける為に、マッスルも、変態仙人も飛び込んだんだ!
ごめんなさい。
「終わったか。4人を生かしておくことは出来ん。止めを刺す!」
ゲンコツが歩いて変態仙人の元に向かう。
変態仙人が、死んじゃう。
「まだじゃあああああああああああああああああああ!!!!起きるんじゃあマッスルうううううう!!!」
「うおおおおおおおおおお!!!俺は死なねえぜ!!!!」
2人は血を流したまま立ち上がる。
もう限界なのに。
「兵士よ!チョコとプリンを運ぶんじゃ!」
「俺と変態仙人が時間を稼ぐぜえ!」
私とチョコが運ばれていく。
2人が死んじゃう。
ソニックタイムを、決められなくて、ごめんなさい!
「変態仙人、マッスルか、あっぱれである!死んでもその名は心に刻むのである!」
「マッスルナックル!」
「威力が落ちている!避けることは容易い!ナックル!」
マッチョが攻撃を受けた。
「そこじゃ!双牙・斬!」
「無駄である!ナックル!」
変態仙人が吹き飛ばされて倒れると、変態仙人が動かなくなった。
マッスルは何度も殴られる。
「がは、もっと本気で、ごほ、攻撃しねえか、ぐはあ!まだ、俺のハートは、死んで、ねえぜ!ぐふぉ!」
「無駄!無駄!無駄!無駄!すべて無駄ああああああ!」
両拳の連撃を受けてマッスルが吹き飛ばされ、動かなくなった。
「誠にあっぱれであった!」
後ろからナイフが飛んで、そのナイフが爆発した。
「変態仙人とマッスルを運べ!2人は簡単には死なない!」
「ふむ、やっと釣られたか!!我に殺されるがいい!!」
「本気で行く!離れていてくれ!爆炎が来るぞ!」
アキ、来た。
来て、くれた。
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