第39話

【サイフィス・シルフィ王視点】





 ライダー 人族 男

 レベル    32

 HP   40 /325

 MP   265 /331

 攻撃 327

 防御   335    

 魔法攻撃 320  

 魔法防御 321  

 敏捷   350

 ジョブ 騎士  

 スキル『剣レベル2』『槍レベル3』『騎乗レベル5』『身体強化レベル3』『生存本能★』



 ライダーは皆にも見せつけるようにステータスを開示した。

 レベルだけで見れば32と高めでエースクラスではある。

 そうではあるが、その割にスキルが弱すぎる。

 部下をおとりにして楽をして魔物を狩るなど楽をせねばこのようないびつなステータスにはならん。


 そして訓練によるステータス上昇がほぼ無い点も楽をした証拠だ。

 いや、逃げる事は多かったのか敏捷だけは上がっている。


 だが、ほぼ周りの環境だけで強くなったか。


 ★マークが固有スキルだが、戦士系ならアーツ系や攻撃力、防御力をパッシブで強くするスキルを覚える場合が多い。

 だが明らかに逃げに特化した固有スキルだ。


 自信満々で見せているが恥ずかしくは無いのか?

 ……無いのか。


「アキよ。私にだけステータスを開示して貰いたいのだ」

「お父様、上の者が頭を下げるのは脅しと一緒よ!」

「見たいのだ」


「分かり、ました」




 アキ 人族 男

 レベル    48【+10】

 HP  575 /580【+100】

 MP   580 /580【+100】

 攻撃 580【+100】   

 防御   580【+100】      

 魔法攻撃 580【+100】    

 魔法防御 580【+100】    

 敏捷   580【+100】  

 ジョブ ものまね士   

 スキル『ものまねレベル【8→9】』『短剣レベル【5→7】』『剣レベル5』『刀レベル5』『槍レベル5』『斧レベル5』『体術レベル5』『弓レベル【5→7】』『投てきレベル【5→7】』『炎魔法レベル4』『水魔法レベル4』『風魔法レベル5』『土魔法レベル4』『光魔法レベル3』『闇魔法レベル2』『錬金術レベル7』『HP自動回復レベル10』『スタミナ自動回復レベル10』『瞑想レベル10』『訓練効果アップレベル5』『身体強化レベル5』『速度強化レベル【5→8】』『隠密レベル【5→7】』『感知レベル【5→7】』『分析レベル【5→7】』『暗視レベル【5→7】』『遠目レベル【5→7】』『透視レベル【5→7】』『採取レベル5』『運搬レベル5』『ストレージレベル5』『騎乗レベル3』



 ……化け物ではないか。

 英雄クラスのレベル。

 

 冒険者ランクで考えれば次のようになる。


 冒険者ランク

 Sランク 英雄    レベル50

 Aランク 英雄    レベル40

 Bランク エース   レベル30

 Cランク 熟練    レベル20

 Dランク 普通     レベル10

 Eランク 普通     レベル 5

 Fランク ルーキー 

 Gランク 研修中



 つまりアキはAランククラスの力を持っている。


「アキの冒険者ランクは?」

「Fランク冒険者です」

「なぜ上げないのだ?」

「ダンジョンで自分を高め、素材を集め、武具を作る事に集中したかったのです」

 

 ライダーが笑いながら言った。


「ふ、私との実力差がよく分かったのではないですか?」

「うむ、よく分かった。ステータスはもうよい。2人に聞きたい。上に立つ者に必要な資質とは何だと思う?」


 ライダーは間髪入れずに答えた。


「統率力です」


 大事ではあるがライダーは統率というより、子供がそのまま大人になったような我をただ押し通す指揮に見える。

 先ほどの戦いはゴブリンを部下に押し付け、自分だけは安全に立ち回った挙句自慢までして来る異常性が見える。


「アキはどう思う?」

「問題を解決に導く力と、上についていきたいと思ってもらえる力、カリスマですかね?」


 面白い。

 ライダーとは考え方は対極に聞こえる。

 ライダーは部下を動かして結果を出し、自らは動こうとしない。

 アキは問題を解決する案を自ら先頭に立ち、考え行う事と考えるか。


 そしてライダーは人を脅して従わせるのに対し、アキはカリスマ性が大事と捉える。

 時には脅しも効果を発揮する場合もあるがライダーは常に部下を脅し続け、部隊の士気が下がっている。


「うむ、よく分かった。次の質問だ。街同士を繋ぐ橋が壊れ交易が出来なくなった場合どうする?」


「私の指揮で川を渡り荷を運びます」


 ライダーが勝ち誇ったように言った。

 優秀な兵士にやらせるか。

 ライダーは一言命令するだけで失敗した時だけ激しく叱責し殴ると聞く。


「アキはどう考える?」

「壊れにくい橋を自分で作ります」

「長い目で考えれば効果的か」

「お父様、違うわ。アキは1日かけずに村に壊れにくい橋を作ったのよ」


 アキならば護衛を必要とせず1人で、しかも短時間で成し遂げるのか!?

 いや、ステータスを見た後ならば……出来るのだろう。


「なんと、では最後の質問だ。水不足でその年は国中が不作に陥り食料が不足した。さて、どう解決する?」


「領から支援を出します」


 ライダーの答えにため息をついた。

 国中が不作に陥った場合を聞いていたのだがな。

 そこで私が思ったよりもライダーにいら立ちを覚えている事に気づいた。


「ライダーの領も不作だった場合は?」

「兵士を指揮して食料を集めます」


 ライダーはほぼ部下にやらせて終わっている。


「お父様、アキは昔村を救ったわ」

「ほう?どうしたのだ?」

「ファーストの村がアシッドスライムに襲われて畑が駄目になったわ。その時アキはストレージから食料を出して寄付したのよ」


「数年前に少年が村を救ったと……アキの事だったか。うむ、納得だ」


 ライダーにはもう興味がない。

 話していて疲れる。

 早く前線に戻り、あわよくば……


「うむ、ライダー。任務に戻るのだ」

「私の有能さが伝わったようですね。では戻ります」


 ライダーは血だらけのまま足を引きずって戻って行った。


 私はアキに興味を持っていた。

 実際に行っている事もあるが、口で言うのと行動するのでは全く違う。

 アキの行動をもっと見てみたい!


「アキを3人の公爵に会わせたい。と、言っても皆顔見知りではある」


 私はアキにこの軍の問題を提示する事に決めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る