第22話 ダンジョン探索⑥・アスティア=アルバール
目が覚めると、私たちは隠し通路の入り口の横で横たわっていた。
「あれ?」
「やっと起きたか、本当にお前達をここまで運んでくるの、大変だったんだぞ」
真也が、なぜか文句を言っている。
「例のあの子は?」
「うん?ああ、その子なら、お前の隣でまだ寝てるよ」
すぐ隣を見るとぐっすりと眠っていた。
「よ、良かった…」
「はぁ〜〜とりあえず、ご飯にしよう、一様、その子の分も作ったが、起きなかったら、アルカディアが食べろよ」
「あ、うん」
「どうした、テンションが低いな…」
「なんというか、私って…弱いんだなって」
「はぁ?そんなの当たり前だろう、最初っから強い奴なんていない、アルカディア、お前はやっとスタート地点に立ったんだ…これからだ、お前が強くなるのは、だから今の自分を嫌いなるな…好きになれ!!いいな…」
「なんか、真也が真面目でイライラする」
顔が風船のように膨らむアルカディア。
「お前、少しは調子が戻ったな、なら食え!!」
私は真也の作ったご飯をたくさん食べた。
もちろん、全て魔物の肉などで作った料理だが……。
食べ終えた頃、白髪少女の目が覚める。
「う…うぅぅぅぅ…ふぁ〜〜、むにゃ、よく寝た…」
「お、起きたぞ」
「起きたね」
白髪少女は目を擦りながら、こちらに目線を向ける。
「………誰?」
少しの沈黙の後に最初に向けられた声、俺たちはその反応に困ってしまった。
「俺は柊真也、この女がアルカディアだ…君は?」
「………私は、アスティア=アルバール」
「アスティアちゃん?」
「アルバール…だって…」
「真也?」
真也の顔を覗くと、明らかに驚いた顔をしていた。
「なるほどな、君はアルバール家を知っているんだね」
「ああ、だが君が本当にアルバール家なのか、俺にはとても信じられない」
「え、あの〜〜何お話を……」
「証拠ならあるぞ…これを見なさい」
するとアスティアの瞳が、赤色から紫色へと変化した。
「何それ、綺麗な瞳…」
「……魔眼、間違いない、君はアルバール家の人間だ、けどあの家系は…」
「なに、なに?」
「そう、私の家系はおそらく、滅んでいるのでしょ?」
「ああ、300年前に、ある事件をきっかけに、滅んだと史実にある」
「ちょっと!!話を聞いて!!!!!!」
アルカディアの大声に二人を耳を塞ぐ。
「なんだよ、今、大事な話を…」
「だから、私が何が何だか、わからないの!!!」
「あ、そうかまだこの世界にきて日が浅いから」
「あなた、もしかして異世界人?」
「うん、そうだよ〜〜アスティアちゃん」
「そうか…」
そう言って俺に目線を向ける。
「なんだよ…」
「いや、なんでもない、とりあえずまずお礼を言わせてほしい、ありがとう…」
「いえいえ、こんな可愛い子を助けないわけにはいかないし…あ、でもどうしてここに封印されていたのかは気になるかな?」
「まぁ、そういう話になるよね、別にやましい話でもないし、少し話が長くなるけど……?」
「いいよ!!めっちゃ気になるし!!」
「俺も構わない、むしろ、聞きたいぐらいだ、このダンジョンの最下層になぜ滅んだはずのアルバール家の生き残りがいるのかを…」
「いいだろう、昔話だ…かつてアルバール家にはある一人の天才がいた…それが私だ……」
アルバール家は代々、アーレン帝国に仕える、3大貴族の一つだった、特徴なのがとても珍しい魔眼を持っていこと。
その瞳に宿る紫色の輝きは戦場においては、最高の切り札であり、この魔眼を知るものは見た瞬間に逃げ出してしまうほどだった。
帝国からの評判も良く、不自由がなく、わたしたちは暮らしていた。
しかし、ある時ある噂が流れた…それはアルバール家がアーレン帝国を乗っ取ろうとしているという、噂だ。
たかが噂だがアーレン帝国にとっては見過ごせない事態だった。
常にアルバール家には監視がつけられ、24時間監視体制の状態だった。
その仕打ちに腹を立てた父上は、アーレン帝国に異議申し立てたが、門前払い、父上はすでに限界だった。
そこからだ、父上がおかしくなったのは……。
父上は我が家にある地下室にこもるようになった。
最初はただ疲れているだけだと思ったが、気付けば…父上はその地下室から出てこなくなり、それ以降、私が父上の顔を見ることはなかった。
私は心配のあまり、実家に帰ると、我が家はボロボロになっていた。
もはや3大貴族とは程遠い、存在へとアルバール家は落ちぶれていた。
そんなある日、やっと父上が地下室から出てくると…突然、私に襲いかかってきた。
私が父上に攻撃できるはずもなく、私はあっさりやられた。
目が覚めると私は、とある謎の空間にいた。
そして、私は父上にこう言われた。
「我が娘よ、アーレン帝国は我が一族を皆殺しにするだろう…いくら我らが一族の魔眼があろうと滅びは免れられない、せめて我が娘だけは……いいかいアスティア、君こそが我々の希望なのだ…」
「ち、ちうえ」
「すまない、すまない、だがこれ以外に方法がないのだ…」
その最後の言葉で私は深い眠りについた。
「これが私が知る全て…」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!かわいそうにアスティアちゃん、私がいっぱい面倒見てあげるからね」
アルカディアは泣きながらアスフィアに抱きついた。
「ちょっと!!抱き付かないでよ……」
「アスフィアちゃん〜〜〜〜」
「ちょっとどこ触って…」
アルカディアとアスフィアがフィアがじゃれあっている中、俺はとある疑問が浮かんだ。
「う〜ん」
アルバール家の末路か、なぜか引っかかる、アルバール家、おそらくアスフィアを閉じ込めたのはアルバール家当主だ。
だが、なぜ当主がダンジョンの最下層に…これはもしかしたら、大変なものを手にしてしまったのかもしれない。
だが、怪しいとはいえ、アルバール家の魔眼を持つものが仲間になるのはこちらにとっては好都合だ。
アルカディアもかなりアスフィアのことを気に入っていることだし、いい仲間を見つけた。
されにアルバール家の天才という最高のオプション付き、これはまたアルカディアが英雄に一歩近づいたってことで喜ばしいことだ。
「よし!!みな静かに…まずアスフィア、君はこれからどうする、俺たちはまずこのダンジョンの階層主と戦い、ここの脱出を図るが」
「正直、今の私は何もない、帰る家も、居場所も……だから、とりあえずあなた達について行くことにする」
「ええ、じゃあさぁ、いっその事、私の仲間になってよ!!アスフィアちゃん!!」
「え?」
「きっと楽しいよ…どう?」
「で、でも…う〜〜ん、まぁあれね、どうしてもって言うなら…」
と少しだけ赤くしながら頬をかいた。
「やった!!!!」
アルカディアはアスフィアの両脇を掴んで、持ち上げて喜んだ。
「ちょっと!!子供扱いしないでよ」
「よし、じゃあ、今日からアスフィアは俺たちの仲間!!未来の英雄の第1号の仲間だ!!」
「ふん、私が仲間になった以上、絶対に後悔なんてさせない、なんせ私は魔法の天才だから、ふん!!」
「お〜〜〜」
「ではこれで3人なったわけだが、まずアスフィアの実力を見よう!!」
「了解!!じゃあ、レッツゴ〜〜〜!!!」
アルカディアはテンションが高いのか、そのまま先に行ってしまった。
「あの子、テンション高いね」
「ああ、きっと仲間ができて嬉しいんだろう」
「ねぇ、一つだけ聞いていい?」
「なんだ?」
「あのアルカディアって子、一体何者?あの子の魔力…明らかに異常だった、もしかして…真也…」
「アスフィア、君に一つお願い事があるんだ…」
「え?」
突然な言葉にアスフィアは混乱する。
「どうか、最後まで彼女の味方でいてくれ…」
そう言って、俺はアルカディアの背中を追いかけた。
「私と同じように彼にも何かしら理由があるのかな……」
アスフィアもその背中を追いかけた。
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