第17話 金精様、参上の件
僕の脳内の疑問に気がついたエルがこう言ったんだ。
「ハイリ様にマコト様の加護が付いてる理由は私にも分かりませんので、お父様に来ていただきましょう」
そう言うとエルは目を瞑って瞑想し始めたんだ。そしたら暫くしてエルの後ろにキラキラが出て、そのキラキラがおさまったと思ったら金精様が立っていたんだよ。
「我を呼ぶとはどうしたのじゃ? エルよ」
「お父様、実はさっきお知り合いになったコチラのハイリ様に何故かマコト様の加護がついてるようなのです。その理由はお分かりになりますか?」
エルの質問になんじゃとーっ! って大きな声を出して金精様がハイリさんを見る。
ハイリさんとレイラさんは金精様から溢れ出る神気に
「ふむ、どうやら本当のようじゃな…… どれ、ちと聞いてみるかのう。オイッ!
ハワワワッ、金精様はこんな場所に
『何よー、金精様ったら、私も忙しいのよ!! こんなトコに呼び出して何を種明かししろって言うのよ?』
出たーっ!! ってお化けじゃないんだからこの言い方は物凄く失礼に当たるよね。でも、この神気って…… 何だか懐かしく感じるなぁ。
僕がそう思っていたら神様同士の
「フンッ! 忙しいじゃと? どうせ
『そんな訳ないでしょうっ! そりゃ、ソレも多少はあるけど…… そもそも貴方がもう少し手伝ってくれたら私もオノミも時間が取れるのよっ!!』
って、ソレもあるんかいっ!! ハッ、12歳にあるまじきツッコミをしてしまったよ。
「フンッ、何で我がお主らを手伝う必要があるんじゃ? 我はこの世界では異神じゃぞ。それに肉体も持っておる。お主らのおる神界に行けぬ事もないが、それでは妻と離ればなれになってしまうじゃろうが!」
『ほら! 貴方だって乳繰り合ってるんじゃない!』
「じゃから我は良いのだ! この世界に対して何の責任も持っておらんのじゃから、ソレが分からん馬鹿でもなかろう、
『クッ、言い返せないのが悔しい……』
そこにエルの言葉が2人に届いた。
「あの、お忙しいのでしたら早めに用件を聞いて、ソレを果たされる方が良いかと思いますが……」
『ヤダー、今世のエルちゃんも真面目だわーっ!! さすがはトウジが一目惚れしたエルちゃんね』
僕は思ったんだ……
僕の思いをよそに話は進んでいたよ。
『でも、そうね…… エルちゃんの言うとおりね。えっと、この娘にマコトが加護を与えている理由は……』
理由は?
『ゴメーン、私も知らないのー。マコトが教えてくれないから、何でかは分からないけど、でも悪い加護じゃないから良いんじゃない? ね、
っていきなりハイリさんに問いかける女神様。ハイリさんも慌てて返答したよ。
「はっ、はい。勿論です!」
『だよねー。じゃ、謎は解けなかったけど、本人が良しとしてるという事で、私は帰るわね。金精様、本当に偶にで良いから手伝ってよね! じゃあねー』
言うだけ言って
「全く、何の役にも立っておらんではないか!」
金精様が怒ってるよ。まあ、確かに確実な事は分からなかったけど、僕には十分な情報だったんだ。だって
【マコトが教えてくれないから】
ってね。つまり、マコトは亡くなった後も神なのか眷属としてなのかは分からないけれども、神界にいるって事だよね。凄い事が分かって僕の内心は興奮状態だったけど、エルには見透かされてたみたいだ。
「ユージ様、その事は胸に秘めて誰にも言わないで下さいね」
そうエルに言われたから。僕は分かったって頷いたんだ。そしたら金精様がハイリさんに向かって話だしたよ。
「そこのマコトの加護を持つ娘よ。まあ、悪い加護では無いから安心するのじゃ。真のステータスを親にも見せておらんのじゃろう? マコトは500年前に英雄として亡くなったトウジの2人いた妻の1人じゃよ。何を思ってお主に加護を与えたかはその内明らかになるじゃろうて。まあ、トウジの子孫であるユージと共におれば間違いないじゃろう。じゃから安心して過ごすが良い」
そう言うと金精様は僕とエルに向かって一つ頷いた後に消えたんだ。僕たちがハイリさんを見るとハイリさんが泣いていたよ。どうしたの? って確認してみたら、
「私、今まで加護を授けてくれてた【マコト】が、伝説のマコトさんならいいなって思ってたんです。そしたら女神様からも金精様からもそうだって教えていただけたから…… 嬉しくて……」
「そうなんだ。良かったね、ハッキリして。でも、これで間接的にだけど、僕とも身内になるよね。僕はそれが嬉しいよ」
そう言ってハイリさんにニッコリ微笑むと、ハイリさんは顔を赤くしながら僕に言ってきた。
「あ、あの! 身内っていう事ならユージお兄ちゃんって呼んでもいいですか?」
おうっ! か、可愛い…… 勿論僕はウエルカムだよ! ハイリさん。いや、妹だから呼び捨てでもいいのかな。思い切って言ってみよう。
「もちろん、そう呼んで欲しいな、ハイリ!」
「うん、ユージお兄ちゃん!!」
こうして僕に守るべき妹が出来たんだよ。
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