ピアノ

君はピアノを弾きたがらなかった

僕はそれを聴きたかった

あんまりにも頼むから

君は泣いてしまった


ピアノを

捨てたほうがいいだろうか


それは

やめた方がいいと言われた


君にとってのピアノが何なのか

聞くことはできなかった

僕にとってのピアノは

ずっと憧れだった

初めて鍵盤をたたいた日

母はとてもうれしそうだった

けれどもすぐに

やめてしまったんだ


ああそうか

誰かを楽しませるためだけに

ピアノを弾くのはつらいんだ


母が残したピアノを

美しいと君は言った

母が残したピアノが

美しくあるようにと思ってきたから

僕はうれしかった


ピアノを一緒に眺めていよう

それならばいいかな

ピアノが

静寂を奏でているよ

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