第72話 最終決戦…… いやまだです。
私は車を運転して大阪のホテルにやって来た。木山さんと中山さんは寝ていたので、到着しましたよと声をかけた。
「うーん…… 着いたの?」
「ふゎぁ〜、ごめんなさい、鴉さんにお任せしてしまって……」
2人ともやはりお疲れだったようで、徳島から大阪に移動を開始して5分で夢の国に旅立ったので、私はBGMの音量を下げてこのホテルまで運転してきたのだった。
「到着です。チェックインして休みましょう」
私は2人にそう言って必要な荷物だけを手に持ちホテルの中に入った。テレビ局の好意で用意されていたホテルにはちゃんと私を含めた3人分の部屋が用意されていた。ひょっとしたら私は数に入ってないかもと思っていたので、ちょっとホッとした。
「さあ! 呑みに行きましょう!」
木山さん、まだ早いです。少し仮眠させて下さい。
「えっと、鴉さん。行けますか〜」
中山さんまで…… 私は諦めて念押しした。
「いいですか、朝までは無しですよ!!」
私の言葉に素直に頷く2人。そしてホテルでオススメの居酒屋さんを聞いて向かう事になった。
しかし居酒屋さんでいいのか? 売れっ子である木山さんは言う。
「そりゃ、高いお店にも行く時もあるけど、余り好きじゃないのよね。肩肘張るような感じがしてね。私はお酒を飲む時はリラックスして飲みたいの」
なるほど、そういうものですか。しかしその言葉に中山さんがツッコミを入れる。
「違うでしょ〜、美登利さんはリーマンの渋いおじさま目当てで居酒屋に行くんでしょ〜」
「ちょっと! それは言わなくてもいいでしょ!」
はい、もういいから行きましょう……
私は2人と共に居酒屋に行き、飲みは控えめにしておき、2人がバカスカ呑むのを眺めていた。うん、凄く呑んでますけど、もうそろそろお開きにしますよ。
「こら、全然呑んでないじゃないの〜…… zzz」
あ、寝てしまった。木山さん、ここで寝たら困りますよ。中山さんも何とか言って下さい。
「zzz……」
って、こっちも寝てるし…… どうするか…… しょうがない、ここは私の【闇魔法】、
私は無事に任務を果たした。ホテルに2人を無事に戻し、部屋に入ってもらい、ベッドまで歩かせてちゃんと寝かせる事に成功したのだ。
そして2人の部屋に結界をはり、私も自分の部屋に入ってシャワーを浴びてから早々に寝た。
翌朝、2人の気配を探ると既に起きて身支度も終わっているようだ。私は部屋を出て2人の部屋をノックする。
「おはようございます。朝食を食べに行きませんか?」
私の言葉に2人とも部屋から出てきて不思議そうに私に聞いてくる。
「ねえ、鴉さん。私って昨日はどうやってホテルまで戻ったの?」
「私〜、お店から出た記憶が無いんですけど〜…… お姫様抱っこしてくれましたか〜?」
そんな2人に私はニッコリ笑って言った。
「お2人ともご自分の足でちゃんと歩いて戻られましたよ」
私の言葉に半信半疑ながらも、実際に部屋に戻っていたのだから頷くしかない2人を朝食を食べましょうと言ってホテルの食堂に向かった。
朝食を食べ終えた私たちはチェックアウトして車に乗り込み、東京へ向かう。道中は何事もなく無事に東京に着いて、レッツラゴー事務所まで送り届けた。
「お疲れ様でした、鴉さん。今回は本当に助かりました、有難う」
そう言って社長さんに労われた。
「また何かありましたらご連絡ください」
社長さんにはそう言い、木山さんには日曜日に連絡しますねと伝えてレッツラゴー事務所をあとにした。
その足でスターフェス東京事務所に向かう私。事前に相川先輩にマインで連絡を入れておく。
【タケフミです。今、木山さんを事務所まで送り届けて、仕事を終えました。今からそちらに向かいます】
マインで連絡を入れて5秒で私のスマホから着信音が。
「おう! お疲れさんだったな、タケフミ。今なら俺も事務所に居るし、お前が来るまで待っとくよ」
「はい、あと15分ぐらいでつきますから」
私はそう返事をして通話を終えた。そして、スターフェスの事務所に入る前に収納から土産を取り出しておく。
事務所の社員さんたちには愛媛県の柑橘ゼリーに高知県の芋けんぴ、更に徳島県で製造されている【金ちゃ○ラーメン(袋めん)】と【金○ゃんヌードル(カップめん)】を入れてある。
社員さん8名分をちゃんと用意している。相川先輩には後で自宅に届く魚介の
私は先ずは事務所内にまだ残っていた8名の社員さんにお土産だと言って先の荷物を手渡した。みなさん、とても喜んで下さり仕事が終わった方は帰られ、仕事が残っている方は自身のロッカーに仕舞っていた。
で、所長室に向かうと相川先輩が私に向かって【くれ】という感じで手を差し出している……
いや、あのですねと先輩に説明すると、
「ハッハッハッ、やっぱり俺の後輩は出来る奴だ! そうか、そうか、四国四県の旨い魚が後日に!! よし、今日はお疲れ会だ! 呑みに行こう!」
と満面の笑みで誘われてしまった…… クッ、私世代の者は先輩の誘いを断るなど言語道断なので、自宅に戻りたかったがお誘いを受ける事にした。
そして案の定、しこたま酔った先輩をご自宅までお送りしました……
エロフ、違った、奥さんのナツキさんからは平謝りされたけど、私は後輩の勤めなのでと笑って言っておいた。そして、
「このまま自宅に転移したいのですが、構いませんか?」
と聞くと、ナツキさんが快くハイ、どうぞと言ってくれたので、私は自宅に転移した。
はあ〜疲れた。でも何とか間に合ったようだ。今の時刻は23時で、明日の朝9時に宅急便が届くから8時ごろまでは寝る事が出来る。
私は風呂に入り食事もカップめんで済ませて布団に入った。
8時に目覚めた私は朝食を食べ、身支度を整えていた。9時過ぎに宅急便が続々と到着する。
私は先ずはタカフミさんと弥生の住む隣家に向かった。もちろん、勝手口からだ。
「おはよう、昨日四国から戻ってきたんだが、体調はどうだ?」
出てきた弥生にそう聞くと、
「タケ
私は弥生に分かったと言って、今度は事務所に向かう。
東郷さん、香山くん、真理ちゃんにもお土産として海の幸を手渡し、痛むといけないので私が持参したクーラーボックスに入れておいて、帰るときに忘れずに持って帰って下さいねと伝えた。
クーラーボックスはもちろん私が改良した魔道具だ。時間経過無しのスグレモノだ。
そして、その時に真理ちゃんと香山くんが結婚を前提としたお付合いをしている事を教えてもらった。
「おお! おめでとう! 香山くん、こんな可愛い娘を妻に出来るなんて果報者だな! で、タケシにはもう挨拶したのかい?」
「いえ、まだです。お忙しいらしく、真理ちゃんから連絡を入れても都合が悪いと言われて……」
フム、あいつめ、会いたくないからって避けてるな。そこで私は一計を案じる。
横でニコニコ笑ってるタカフミさんと東郷さんに明日の日曜日に2人を連れ出してもいいですか? と聞いてみるとOKをもらえたので、2人に今から一緒に東京に行こうと言った。
明日はタケシと木山さんのお見合いだ。そこに香山くんと真理ちゃんもサプライズで連れていってやろうと思ったのだ。
突然の私の提案に2人とも困惑たしていたが、私はその理由を話した。しかし、真理ちゃんがこう言う。
「タケフミさん…… その木山美登利さんみたいな人気のある方が、うちの父を気に入るとはとても思えないんですけど…… 2人が上手くお付合いする事になったのなら、私たちも出ていきやすいですけど、ダメだった時はどうすれば……」
私はそんな真理ちゃんに太鼓判を押した。
「真理ちゃん、大丈夫だ。絶対にあの2人は付き合うよ」
そんな力強い私の言葉に香山くんが覚悟を決めたようだ。
「よ、よし! 真理ちゃん、東京に行こう! 行って真理ちゃんのお父さんにちゃんとご挨拶させて欲しい!」
香山くんの言葉で真理ちゃんも決意したようだ。
「うん、分かった。行こう!」
そうして、私は2人を連れて東京に行くことになった。
フフフ、明日が楽しみだよ、タケシ……
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