彼岸の君
真紅の中にぽつんとだけ白の彼岸花。群生して咲く中では、厭に目立っていた。どうやら生まれてくる場所を間違ってしまったようだ。そう思うと、白がなんだか愛おしくなる。この世に馴染めなかったあの子とどこか似ている……。私は十年前、風が冷たくなってきたあの日を思い出していた——。
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