ヤンデレに憧れた女の子がポンコツ可愛い

のぞみん

ヤンデレと言えばやっぱ刃物

愛する彼——幼馴染くんの心を奪うためにはどうしたら良いのだろう。

私、弥生は一緒に居てもう十数年になる幼馴染くんに私は恋していた。


じゃあ告白すればって思うかもしれないけど、万が一フラれたりしたら今の関係が壊れてしまうかもしれない。


それにフラれたら私が死ぬ。100%死ぬ。


そう、私は幼馴染くんから告白して欲しいのだ。どんな告白されようと一発オッケーだし、その後のシミュレーションも何度もしてきた。私に抜かりは無い。


でも幼馴染くんは中々振り向いてくれない。一緒に登校したり、おつかいに一緒に行ったり、同じクラスになったりしてるのに…


しかし、私は天才的な考えを思い付いた。


そう、「ヤンデレ」だ。


◯witterで不意に流れてきた1枚イラストを見たとき、私はピンと来た。


『ヤンデレになれば幼馴染くんにも私の大好きオーラが伝わるのではないか?』

それに最近はちょっと病気な感じの女の子がウケると聞いた。


つまり私もヤンデレになれば大好きな男クンに振り向いてもらえるはずッ!


そうと決まれば早速実行あるのみよッ!








――――――――――――――――――――――――――――








ヤンデレと言えばやっぱ刃物!前見たイラストも包丁持ってたしね!さっそく包丁を持って…

「弥生?あんた普段台所なんか来ないのにどうしたの?」


しまった。ママが料理に使ってた…これじゃ包丁持ってけないよ…


「な、何でもない!」


仕方ない。何か別の方法を考えないと。


「それより弁当箱出しなよ。出さないなら洗わないからね!」


「あ!待って!今出すから!」




――――――――――――――――――






包丁がダメならカッター!これなら私の部屋にある!

長いこと使ってないから結構錆びてるけど大丈夫だよね!


じゃあカッター持って…


持って…


どうするんだろ…


ヤンデレって刃物持ってるイメージあるけど…実際どう使うかって知らないや…


じゃあヤンデレと刃物の関係性がどう言うのか調べて…


駄目駄目!!そんな事したらテンプレみたいな量産型ヤンデレになっちゃう!


私は私だけのオリジナルヤンデレになるんだから!!


とりあえずカッター持って幼馴染くんの所に行こう!幼馴染くんの家は隣だから直ぐ!


「ちょっと幼馴染くんの所行ってくるねー!」


「あんまり迷惑かけちゃ駄目よ」




―――――――――――――――――――――――――――




ピンポーン




「はーい、あら弥生ちゃん」


「あ、おばさんこんにちは。幼馴染くん居ます?」


幼馴染くんの家に行くと幼馴染くんのお母さんが出てくれた。


「もう帰ってきてるよ。上がってく?」


「はい!上がります!」


いざ!幼馴染くんの部屋へ!










「で、どうしたんだこんな時間に」


「あー…えっとね…」


勢いだけで入ったけど、どう言えば良いか全く考えてなかった。


まさか『ヤンデレになりました!』とか言えないし、『ヤンデレってカッターどう使うの?』も質問からして変だ。


カッターをカチカチさせながら口ごもってると、幼馴染くんがカッターに気が付いた。


「このカッター錆びてるじゃん。ちょっと待ってな」


そう言うと幼馴染くんは引き出しからペンチ?ニッパー?を持ってきた。


「こうしてパキっと…ほら綺麗になったぞ」


「おおー!凄い切れやすくなった!」


部屋にあった要らない紙で試し切りしたら凄い切りやすい!錆びが無いってサイコーじゃん!


「そろそろ晩飯だろ?弥生のお母さんも作ってんじゃないか?」


よく見たら時計の針は6時を指そうとしていた。ってヤバい!早く帰らないと!


「ホントだ!もう帰んないと晩御飯抜きになっちゃう!」


「おう。また学校でな」


「また明日ねー!」








いやー!長らく錆びてて切れないカッターが直った!これで買い換える必要ナシ!!100円得した私は上機嫌で家に帰った。


「あれ…?」


何か忘れてるような…?

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