第6話 蜜月ってなに?
小さくプルプル震えるシルビアに気が付き、アレンはさっと覇気を抑えた。
「ああ、申し訳ありません。姫様を怖がらせてしまいましたね」
ふわりと微笑まれてまた心臓を鷲掴みにされる。ああ、なんて罪作りなその笑顔。
「姫様にお言葉を戴けるあの者たちに嫉妬してしまいました。姫からお声がかかるのを今か今かと待っていたので」
悲しそうに眉を下げるアレン。
(もしやアレンは拗ねているのか!なんと、なんと可愛らしい……)
「あ、アレン!今まではアレンに気が付いておらんかっただけじゃ。そちはわらわにとって誰よりも特別な存在じゃ」
「本当に?」
「もちろんじゃ!」
「じゃあ、もうよそ見しませんか?私だけを愛してくれますか?」
「当然じゃ!わらわはそちを唯一の番とし、生涯そちだけを愛すとここに誓おう!」
シルビアは思い切って宣言をした。番という特別な言葉にシルビアの頬はかつてないほど赤くなっている。
「姫……心よりお慕いしております」
「アレン……わらわもじゃ……で、そろそろ下ろしてくれぬかの」
「嫌です」
にべもないアレンの言葉にシルビアは軽く困惑していた。
(何でじゃー!これほど愛してると言うておるに!)
そこにバタバタと現れる父上たち。
「おお!シルビア!ようやく番を定めたのだな!」
「まあ、早速このように仲睦まじい姿が見られるなんて……」
「ええ、わしも今までお育てしたかいがあったというもの」
涙ぐみながら喜ぶ両親に、同じく涙ぐみながら胸を張る爺。
「ほ、ほらアレン、父上と母上もいらしたことじゃし、いい加減下ろしてたもれ」
「できません」
両親の前でイケメンにお姫様抱っこされているというシチュエーション。シルビアが堪えきれずに身悶えすると、アレンはますます抱き締める手に力を込め、なんなら頬ずりまでしてくる始末。正直嬉しいけどそれ以上に恥ずかしいので本当にやめて欲しい。特に両親の前ではっ!
(え、ちょっとこれ大丈夫?一応あれ、竜王じゃからの?不敬罪にならんのか?)
「あらあら」「おやおや」
そんなシルビアの心配をよそにニマニマと顔を緩める両親たち。
「これはあれね、あなた」
「そうだねハニー」
「「結婚式は蜜月が終わってからだね」」
声を合わせて高らかに宣言する。
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