第2話 旅立ち
ニジンは長く魔の森で育った。
おそらく、覚えている確かな記憶は、魔の森に棲んで以降のことである。
そして、
ニジンには、持病がある。
魔の森の毒か、
生まれ持ったものなのか、
定かではない。
そして、
その病と、
自分の運命を倒すべく、
オメガコスモスへ向かう・・・。
魔の森で手に入れた大剣の妖刀は、
あらゆる心の闇の力で、その強さを増してゆく。
まさに、妖刀だ。
ニジンは魔の森の石碑の前に、自分の家族の名前があることを確認すると
旅立つ決心をした。
まず、故郷の士官学校を訪ね、それから呪いの施設へ行き、
虹の橋を渡る。
そして、ここからがオメガコスモスであって
打ち砕くべき闇の世界。
ニジン「これは、真の物語、唯一の世界だ・・・。」
幾重にも重なったパラレルワールド、マルチバースを
一つのユニヴァースに統一しなければならない。
それは
ニジンひとりで出来る様な真似ではない。
だが
ニジンには、持病のサラブレッドとなった自分の運命に抗うかのように
旅を続ける・・・。
「・・・・?」
何か気配がする。
気のせいか
毒気か。
妖刀がしゃべりだすなんて、
子供のころのマンガにも載ってない。
ニジンは鼻で笑ったが
確かに聞こえるのだ。
・・・アサミの声が。
今は亡き、闇の病によって命を奪われたニジンの妹。
彼女の為にも
ニジンは戦い続けなくてはならない。
「士官学校、懐かしいな・・・。なんて。
ここに良い思い出なんて一つもない。復讐だ・・・。」
ニジンは妖刀を抜く。
続く
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