三通目
ここ数年、花火を見ていません。
コロナ禍で多摩川の花火大会が中止になってから見る機会が無くなりました。
多摩川の花火大会は毎年見に行っていました。同じ季節に同じ駅で待ち合わせをして、品川の水族館で毎年同じ会話をして同じ様な時間を過ごし、二人で並んで昨年と同じ道を歩いて多摩川へと向かい、同じ場所で花火を眺めていました。
毎年変わらぬ彼女と同じだけ年をとったという証拠でもあったのです。掛け買いのない友人であったと思います。今も偶にあって遊びます。しかしそれはかつての関係とは言えません。
言葉にはできないのですが、あの日のあの繰り返した時とは明確に違った時の過ごし方になってしまっています。
変わらぬ関係とは所詮は幻想なのかもしれません。あの日に見た景色を反芻して懐かしむ行為は、とても醜い。吐いたゲロを再び飲み込む。一歩も前へと進もうとしないその行為は、誰も救わない。終わりを迎えるその瞬間から目を逸らし続ける行為は、目の前の“あなた”からも目を逸らしているのです。
変化を受け入れられないのはとても醜い。しかし、変化していく世界を目の前に晒されるのはとても怖いのです。歳を重ねる度にその恐怖は積み重なって、重く伸し掛かってきます。
愚痴をだらだら書いて申し訳ありません。ここで終わりにしたいと思います。
雨が降り続けている朝方から。拝具
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