第143話 どーも、ヴィルヘルムです
前書き
前回のあらすじ
強者と出会う主人公
本文
元法国の守護者の老人ことヴィルヘルムから海龍の素材から出来た仕込み刀をもらうヨリさん。どんな効果があるのか気になるところではあるが、話しを進めるおっさん。
「爺さん、神龍や海龍の素材を持っていたんだ?あと、ゲンツという鍛冶師は、ガンツの祖父か?」
「神龍の素材はたまたまじゃ。海龍は、一度、腕試しに挑んだ時に持ち帰ったもの。あの時は、儂がこの世界で1番強いと信じておったわ。ほっほっほ。」
(神龍の素材がたまたま手に入るって...それに、あの海龍本体と戦うとか十分、この爺さんもイカれている。なんか、頭痛くなってきた...)
「私から質問いいかしら?」
ユリさんが龍眼化のスキルを発動させ、ヴィルヘルムを見る。実際に見ているのは、魔力の流れだと思うけど。
「なんじゃ?赤いの。」
「その赤いのって何?」
赤いのって呼ばれるのが嫌なのか、少しムカついている様子。
「魔力の色じゃよ。エルフの嬢ちゃんは、赤。元女王の嬢ちゃんは、青。そして、1番物騒な色をしている男。若造は、真っ黒じゃな。」
「私たちの魔力が視えるのですか?」
仕込み刀を手に持ち、何度か素振りをしていたヨリさんが話しに再び参加する。
「目に魔力を練れば見れるようになるわい。ほっほっほ。お主らは、まだまだ練りが足りなすぎる。魔力の使い方がまるでなっちゃいないのぉ。」
目に魔力を練る?俺たちは、全く言葉の理解が出来ない。
「爺さん、法国の守護者は皆、魔力を練ることが出来るのか?」
口角を上げ、ニヤっと笑うヴィルヘルム。
「そもそも、魔力を練るという技術を広めたのは儂じゃ。法国の者が知らぬわけがない。ただ...そうじゃなぁ。儂と同じくらい練る者はおらんかった。本来、身体だけでなく武器にも練った魔力を付与させることが出来るのじゃ。法国の守護者の戦い方は、一度攻撃を受けておらんかったか?」
ヴィルヘルムからの質問に、俺はすぐ守護者との戦いについての記憶を引っ張り出す。
「いや、グレンから先に攻撃をしてきていたぞ?」
「あぁ、奴はそういう性格をしていたのぉ。ほっほっほ。あの臆病者は、同格、もしくは格上と分かるとすぐ逃げおった。 」
あのグレンが臆病者?想像出来ない。
「ほっほっほ。あやつの本性は、ただの強がりな弱い奴じゃよ。」
ユリさんとヨリさんは、ヴィルヘルムの言葉に「そうよね。」とか、「確かに、あいつは弱い者です。」とか言って肯定している。
「えっ?俺だけ?」
グレンがただの強がりで弱い奴なんて思っていなかった事実に俺は純粋に驚いている。
「男として器が小さいように感じるのよね。」
ユリさんのグレンへの感想に、追従してヨリさんも発言する。
「本当にキモかったです。」
(めちゃくちゃ言われているぞ、グレン。こんな風に言われたら、俺、泣くわ...)
「ほっほっほ。苛烈よのぉ、赤いのと青いのは。して、そろそろ本題に入ろうかのぉ。なぁ、黒いの?」
「あー、うん。本題に入りたいんだけど...俺、腹減ったんだわ。いやー、話の流れを折るようで悪いんだけど、飯食ってからにしてくれると助かる。爺さんもいるか?」
俺の返事に、動揺した目で見てくる3人。
(そんな目で見るなよ!話しの整理が出来ていねーんだよ!あと、昼飯から結構な時間経ってんだぞ。腹減るだろ!)
ユリさんとヨリさんの見開いた目を見て、俺は言いたいことを心の内に留める。
「ほっほっほ。黒いの。お主、儂の魔力圧を平気で受け流すとはやるのぉ。なに、夜は長いから、飯を食ってからでも構わぞ。美味しもんなら、儂にもくれ。ほれ、さっきの仕込み刀の礼だと思って。」
「調子のいい爺さんだな。ユリさんとヨリさんも、もちろん食べるよね?」
「もちろん食べるわよ。それにしても、さっきの魔力の圧を受けながらご飯の提案をするなんて...ふふっ。ケンさんはブレないわね。」
「さすが、私の旦那様ですね。そういう所も好きです!」
褒められているのか微妙な感じ。簡易的な
調理すること1時間。黄金
「なんじゃ、これは!初めて食べる食材じゃが...嬢ちゃんたちが勧める理由も納得出来る。これは、美味い!」
「フフっ!だから言ったじゃない。死ぬ前に食べるべき料理って。」
(ぇっ?死ぬ前に?)
「赤いの。そう言っても、これでも儂、食べ物にうるさいんじゃよ。」
俺が作った料理なのにドヤるユリさんとヨリさん。ヨリさんもユリさん同様にヴィルヘルムに言う。
「ケンさんの料理は、今まで味わったことないものばかりです。これを毎日食したいのであれば、法国に伝えた魔力を練る技術を教えてもらわないといけません。」
「うむ。分かった。男に二言はない。教えてやるわい!」
俺が一生懸命調理している間に何やってんだコイツら...
後書き
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