第35話 どーも、魔人族との戦いです

前回のあらすじ


主人公 エルフ指を咥えさせられる



本文



どーも、これから魔人族に仕掛けるために出発するオッサンです。

皆それぞれ、ガンツ作の武器を装備している。驚いたことに帝国でも、ガンツは有名らしい。本当にあのジジイ何者だよ。この2日はひたすら模擬戦に、スキルの熟練度を上げた。姫さまたちの連携による攻撃の種類も増やした。やれるだけのことはやったし、俺もそうだが、当たって砕けるだけよ。魔人どもめ、俺の普通の生活をする為に死んでくれよ。


「作戦の最終確認を行います。身体能力向上スキルでアンデット軍勢の中に突撃した後、ケン様の魔力解放で道を作って頂きます。先導はユリ様と足がはやいライア。その後ろにモイラ、ハル、カーラ、シャロの4人。貴女たちは、死霊使いネクロマンサーの護衛の魔人に先制攻撃をお願いします。もし、相手から先に攻撃が来たらイーリス、ケイアと私が障壁を展開します。ユリ様、ライア、アルテは遊撃として攻撃の参加、マリアとメアリは暗殺術で死霊使い《ネクロマンサー》に近づき隙を伺い攻撃をお願いします。死霊使いネクロマンサーが何か企んでいるのは明らかです。常に警戒をしてください。もし、死霊使いネクロマンサーが仕掛けてきたらケン様...貴方の力でねじ伏せて下さい。ここまでに何か質問がある者はいますか?」


セレネ姫から作戦の最終確認がされ、全員が無言で頷く。特に質問はない。あとは、作戦実行するだけだ。


「私たちは、帝国による裏切りに迫害され追い出されました。その後魔人族に大切な仲間を殺され死にかけた。朽ちていくだけの私たちはケン様とユリ様のおかげで再び剣を持つ事が出来た。それも以前よりも強くなって...この戦いは復讐戦であり、私たちは帝国に刃向かう者。生きのびろとは言いません。少しでも奴らにダメージを与えるのです。私たちの怒りを憎しみ乗せて、食いちぎっていきましょう!」



オオおーーー!!



さすが姫さまだな、

士気をあげるなんて造作もないみたい。

散々、苦渋を呑んだ。

俺も、もうアンデットの臭いがする場所はうんざりだ。


さあ、復讐しよう。


「アンデットの軍勢までの道のりは、俺に任せろ。しっかり道を作ってやる!置いていかれるなよ?」


俺は、アンデットの軍勢がいる場所まで先頭で駆け抜ける。その勢いのまま、障壁を展開し軍勢に突っ込む。

障壁にぶつかり飛び散っていくアンデット、軍勢のど真ん中まで到着し、俺はコッケンを構えて唱える。


「魔力解放!!舞い散れッ!」


ミノス戦で使った技、ドス黒い魔力が形状変化して幾千の針となり周囲のアンデットを蹴散らす。


「ああああああああああっ!!」


『魔力強化・魔力暴走』


魔人族の本陣があると思われる方向に向けて、コッケンに纏う魔力を放つ。それは、滝を割るようにアンデットの軍勢を消滅させ道が出来る。


「今が好機です。皆さん!!ケンさん、後から必ず付いてきて!!」


俺の役目は、この場で道を作ることと死霊使いネクロマンサーが仕掛けた時に対抗すること。とりあえず、暫くはMP回復に努めて力を溜めておくよ。




※セレネ視点


本当に、あれだけいたアンデットの軍勢を1人で壊滅状態に追い込んでいるケン様はスゴい。あれでまだ、全力ではないと言うのだから味方で良かったと心の底から思う。


「姫さま、ユリ殿が先行して護衛の魔人に弓で先制攻撃をしました!」


アルテから報告を受け、私はすぐに指示を出す。


「作戦に変更はありません!!モイラとハルのペアでユリ様の援護及び攻撃をしなさい!もう1体の魔人にはライアが攻撃を仕掛けているはず。カーラとシャロはそちらに向かい攻撃を!!マリア、メアリ。行きなさい!!」


イーリスとケイアと私で迫ってくるアンデットを対処する。前にこの軍勢に向かった時は、悲惨でとても苦しかった。でもケン様は言った。まだ、足りない。もっと心を燃やせと...そして生き残るために考えを止めず足掻けと。今なら分かる。これは、私たちが生き残るための戦いだ。コイツらを殺さなければ永遠に明るい未来が来ない。ケン様が見ていた光景は、これなのね。常にこの状況を乗り切ってきて、ユリ様がその姿を見て惚れた。その感情、少し分かります。絶望の闇に差し込む光...


「イーリス、ケイア!MPの消費を抑えてアンデットたちを魔人の所に行かせないようにしなさい」


「分かっているわ!セレネ様!」


ケイアってすごく魅力的な身体してるわね。私もなれるかしら?


頭を振り、どうでもいい事を考えを捨てる。嫌だわ、頭が冴えて周りがよく見える分、思考がズレてしまったわ。イーリスは、みんなのお姉さん。防御能力が1番高い。そしてアルテは遊撃としてイーリスが抑えているアンデットを次々に葬っていく。



ガァぁガァアァ



「ドラゴンっ!!?」


「姫さま!!死霊使いネクロマンサーが召喚いたドラゴンです!」


「マリアとメアリは無事なの!?」


「分かりません!」


アルテから嫌な報告を受け、私は混乱する。

あれは、なんのドラゴンなの?あんな凶悪なモンスターを召喚して何を企んでいるの?


「クフフフフっ、まさか生きているとはね。セレネ姫?どうたい、僕の最高で最強のドラゴンは。帝王からの依頼で人間の恐怖という魂を根こそぎ注ぎ込んで冥砂竜アメミットを召喚したのさ!クフフフフっ」


「お姉ちゃん!!」


えっ?お姉ちゃん?


死霊使いネクロマンサーが手に持っているのは、マリアとメアリの首...


「ああ、この二人のことですか?愚かにも私に刃向かって来たのですから、当然の末路さっ!クフフフフっ、もっと絶望するいい。君たち全員、ここで死ぬのだから。せめて僕の役に立ってほしいな」


幼少期から私の世話をしてくれた、マリアとメアリが...


「あああああああああああっ!!」


「シャロ!!まって...」



グシャッ



冥砂竜アメミットの振り上げた尾がシャロにあたり地面に叩きつけられ死んでしまった。


いやっ、嫌!ユルサナイ!絶対にコロス!


「セレネ様、前に出てはダメだ!!あのドラゴンの餌食になってしまう」


「でもっ!どいて、イーリス!マリアたちが!」



ドォンッ



「な、なに...!この僕にこう...」


「ユリ様!!」


ユリ様の矢が死霊使いネクロマンサーの胸に貫通し、大きな穴が空く。それでも倒れない、なぜ!!?


冥砂竜アメミット!!僕を食え、クハッ。絶望しろ、お前たち。冥砂竜アメミットの最後の養分はこの僕だ。そして僕の力を宿す」


最後に言葉を残して冥砂竜アメミットの養分になる死霊使いネクロマンサー


「ドラゴンが腐っていく...冥砂竜アメミット屍鬼ゾンビになっていくわ...」


私は、それをただ眺めていることしか出来なかった。




後書き


次回 ドラゴンゾンビ

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