騎士の役割(ザックリとね!!)




「ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウ―!!」


「パカパカパカパカパカパカ―!!」




見渡す限りの大草原の中を、爽やかな風と共に馬で駆けていきます。



空は綺麗な青色に染まり、燦々と降り注ぐ日差しは生い茂るの草々を鮮やかな黄緑色に煌めかせます。遥か先には、雄大な山並みがくっきりと見える。






(空気がとても澄んでいる…)



(ん~、とても良い景色ですね…)





ですが、私達はハイキングに来ている訳ではありません!!

私達は和やかな雰囲気で町を出発しましたが、騎士という仕事は、その雰囲気とは裏腹にとても危険な仕事であります。



私もここからは、気を引き締めて、行かなければなりません。


敵はいつ出て来ても、おかしくはないのです!!






騎士の仕事とは…


ザックリ言ってしまうと、この国や町の人々の暮らしを守るという事です。具体的に何から守るのかといいますと、その大部分は魔獣(害獣)になるのです。




―この世界には多くの魔獣が住んでいます。



この町の周辺では、ゴブリンやスライムが多く出現して、それらの魔獣は街道を行く商人と旅人の食料や物資を目当てに襲い掛かってくるので、定期的に巡回して、討伐をしているのです。人を襲う魔獣は『害獣』と呼ばれ討伐の対象になっているのです。



まぁ…

スライム(手のひらサイズ)やゴブリン(子熊くらいの大きさ)なら、多少腕の覚えがある人ならば、倒す事は出来ますけど、数が多かったり、たまに出現する巨大ゴブリンや巨大スライムは普通の人では、とても手に負えないので、腕が立つ冒険者や私達騎士などが倒しているのです。



そして…騎士が闘う大部分は魔獣と言いましたが、それ以外にも、時には盗賊とも闘ったりしています。




盗賊は、小さな町や村を襲い、時には住んでいる人達を殺して、金品や食料などを奪い去っていく悪い人達です。このパーシャの町の周辺にも、そういう人達がそれなりにいますから、魔獣討伐と並行して、警戒にあたっているのです。


なので一見して、長閑で平和そうな町に見えますが、実際はあまり良い治安とは言えないのが現状なのです。






「…」(私)





私もこの騎士団に入ってから、十数人くらいの盗賊と闘い、捕まえました。盗賊とはいえ同じ人ですから、ゴブリンやスライムを倒すのとは訳が違います。



(まぁ、強さでいえば、ゴブリンより少し強い程度ですが…)



同じ人として、本当に恥ずかしい限りですね。


騎士の皆さんは王国の平和を願う、とても優しい方達ばかりなのに。そんな私達、騎士とは…まるで、正反対の人達です。



     




    ((本当に許せない人達です!!))





拳を強く握りながら、強く思う私。







「…」(私)




まぁ、話が逸れましたが…騎士というのは、そんな敵達と闘う危険と隣り合わせの仕事なのです。とても誇り高く、皆の憧れの仕事でもありますけど、そんな仕事なのです。









          ◯










しばらく…草原を駆けていくと、その内に雲の流れが速くなり、風が強くなります。そして、遠くの方にゴブリンが3体いるのを発見した。


遮るものが無いから遠くにいても、とても発見しやすい。



「私がやるわ!!」



私は、そう言い―


腰に携えたパーシャ騎士団の紋章が刻印された剣を抜いて、皆より前に出る。私は馬を加速させ、一気にゴブリンに近付きます!!



「ウゴゴゴゴ…?」


「「「ウゴオオオオオオオオ―!!」」」



ゴブリン達も近付く私に気付いて、私に向かって飛び掛かってくる。ゴブリン達の手には…木の棒や錆びた剣が握られており、当たったら、とても痛そうです!!



「えい、それ―!!」


「ズバン―!!」 「ズバン―!!」



私は馬に乗ったまま剣を軽く、そして素早く振る。振るった剣は、ゴブリン達の急所を的確に捉え、ゴブリン達の身体は切られた傷の所からボロボロと崩れて、消滅していった。



(はい、終わり~!!)






結局―


私は馬から降りる事はなく、馬を走らせながら一撃で斬り倒していた。



私の様な “魔獣使役の魔法” の使い手の基本的な闘い方として “魔獣の気持ち” で相手の行動を先読みして、流れる様な動きで素早く急所を攻撃して、敵を仕留めるのです。


“魔獣の気持ち” は知性が高く、人と心を通わせる事が出来る穏やかな魔獣(親和獣)ならば意志疎通をしやすくして、親和を築く事が目的ですが…害獣と呼ばれている様な魔獣は知性が低く、そんな事は出来ません。しかし、相手の気持ちは読む事は出来るので、次の相手の行動を先読みして、動く事が出来るのです。




(フフフフ…)



華奢で、か弱そうな少女がゴブリン達を澄ました顔で流れる様に、あっという間に斬り倒す姿は…そのギャップも相まって、とても綺麗です。その姿を絵にしたら、どこか偉人の肖像画にもなりそうな風格と気品さを感じさせる事でしょう(自賛中)





私は馬を走らせて、皆の所に戻っていく。




「また腕を上げたね、イブ!!」


ルイアは、言う。


「エヘヘへへ…有難う!!」 


私は、誇らしげに笑う。




「これで、能天気な性格が治ったら完璧なのにね」



「…」(私)


「はい…すいません」






「しかし、まだまだ無駄な動きが多いな」


コーレン副団長は、しっかりと指摘をしてくれました。何か勝手に舞い上がってすいません…まだまだ、半人前の私なのです。




―その後も、周辺のゴブリンやスライムなどの魔獣を皆で倒していると、遠くの方に大きな緑色の塊が動いているのを発見しました。



大きさは…3階建ての建物くらいでしょうか。


手には、大きな木のこん棒を持っています。



「あれは巨大ゴブリンだな」

「あの場所は街道にも、近い所だからな。あれは討伐する必要があるな。皆、行くぞ!!」」



「「はい、分かりました!!」」(4人の騎士)




コーレン副団長の一声の下、私達は巨大ゴブリンを討伐する事になりました。ここからは、パーティーらしく皆と連携した闘いになるのです。











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