蚯蚓と蝉

照りつける太陽を仰ぐ人々は、

足の踏み場もないほどの蚯蚓の死骸に見向きもせず踏みつけて、駅に吸い込まれる。

消魂しい蝉の声は鎮魂歌にあらず、ただ己の命の限りを震わせるのみ。

その亡骸も同じ道に落ちるのだろう。

土に還れぬものたちは、解放を焦がれ続けている。


2023.07.21

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