第2話 聖女のレベルはカンストです
ロイドはもう一度目の前の少女を見た。少女は恥ずかしそうに目を伏せる。
「あ、いえ、でもずっと時の概念のない空間にいたので、気分はまだまだ17歳と言うか……」
「職業……聖女……レベルSSSクラス……」
「あ、はい。一応レベルはカンストしてて、聖属性魔法は全て習得済みです」
ロイドは静かに席を立った。
「あ、あの、どこに行かれるんですか?私、お仕事を紹介して貰いたいんですけど……」
慌ててロイドの袖を掴む少女に満面の笑みを向ける。
「大変失礼致しました。大聖女アニーシャ様。すぐにギルドマスターを呼んで参ります。別室をご用意致しますのでこちらに。おいっ!最高級の紅茶を頼む!あ、紅茶はお好きですか?ジュースのほうがよろしいですか?」
「あ、え、いえ、紅茶は大好きです」
「そうですかそうですか。すぐにご用意致しますからね。あ、我がギルド自慢の食事をぜひ召し上がって下さい。頭の禿げた親父が作ってますが味は保証します。何か食べたいものはありますか?嫌いなものは?」
「えっ?良いんですか!実はお腹がペコペコで……」
「おいこらっ!今すぐ食堂の全メニュー持ってこいっ!急げよっ!」
ロイドは見習いに檄を飛ばすと、すぐにカウンターを出てアニーシャを応接室までエスコートする。
突然受付を閉めたことで後ろに並んでいた冒険者たちが大声で文句を垂れているが知ったことではない。何しろこのギルドにおける最重要人物だ。きっと連日のオーバーワークに、ロイドを哀れに思った神が遣わした天使に違いない。
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