番外編 箱の中の女盗賊(R15) 1/2
R15部分になります。
番外編なので、飛ばして読んでも問題ありません。
1
女盗賊――エレノアは、箱の中で一息ついていた。
未だ全身は快感に震えているが、外気による刺激を避けることは出来た。
外から聞こえる声では、どうやらしばらくこのまま放置されるらしい。
つまり、しばらくこのままで、ネクの魔法の効果が切れるのを待つことが出来る。
魔法効果が消えれば、身体強化の魔法も使えるようになるだろう。
そうすれば、箱を破壊して脱出してしまえばいい。
彼女は、そう楽観的に考えていた。
だが、一つだけ気になることがあった。
懸念材料。
というよりは、何か悪いことが起きるという確信。
この箱の蓋を閉める直前、商人の少女が『何か』を投げ込んだような気がしたのだ。
それほど大きいものではない。
何か、カサッとした軽いものだ。
本来なら、たいして気にする必要はないだろう。
だが、何か嫌な予感がするのだ。
そして――その予感は、現実のものとなる。
ハルが箱の中に入れたもの。
それは『乾燥ジョゴス』だった。
ジョゴスというのは、ぷるぷるとしたゼリー状の生き物だ。
魔物の一種であり、基本的には害獣と同じような扱いをされている。
だが、一部の好事家には、乾燥させたジョゴスが珍味として人気となっている。
また、その生育環境で味わいも大きく異なる。
そのため、商人がご当地ジョゴスを仕入れ、別の土地で販売することも少なくない。
さて、このジョゴスだが、水分の少ないところで生きていくことは困難だ。
だが、一時的に乾燥したとしても、後で水を与えれば元の姿に戻ることができる。
意外と生命力のある魔物なのだ。
翻って、この箱の中――エレノアは、快感に耐えていた。
荒くなった呼気は水気を帯び、全身を汗が滴る。
故に、この箱の中の湿度は高くなり――『乾燥ジョゴス』は水分を手に入れた。
細胞が水分を取り戻し、少しずつだが動けるようになる。
そして、ジョゴスは本能に従い更なる水分を求め始めた。
空気中の水分ではなく、液体として存在する水分。
即ち――『汗』である。
エレノアの肌に触れたジョゴスは、そこに『水』があることを知る。
そして、己の渇きをいやすべく、エレノアの体に己の身を這わせた。
「ふぅ……ううぅん!?」
突然の感触。
最初は、何か乾燥したものが体に触れたという感覚だった。
だが、次第にその感触は変化していく。
ぷるぷるとしたゼリー状の『何か』。
それが、意思をもって自分の体を這っているのだ。
暗闇の中、得体の知れない『何か』と一緒に閉じ込められた恐怖。
その『何か』が直接肌に触れている悍ましさ。
それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。
だが、接触面から生じる暴力的なまでの快楽がエレノアの脳を責め立てる。
耐えきれないエレノアの口からは、甘い嬌声が漏れでる。
「ふぐ……っ、んんっ!?」
必死に耐えようとするエレノア。
だが、それはかえってジョゴスを喜ばせるだけだった。
エレノアの体に必要以上に力が入る。
そのことによって、発汗が促進される。
その汗をすべて自分のものとすべく、ジョゴスはエレノアの全身を這った。
まずは、服で隠されていない部分。
そこから徐々に服の内側に入り込み、肌を直接蹂躙する。
「……はぅ……ふぁっ……、ああんっ!?」
エレノアは悲鳴にも似た声を上げた。
だが、それは始まりでしかなかった。
ジョゴスはエレノアの体を移動しながら、その体積を増していった。
2
ジョゴスには数多の特徴がある。
その中の一つは、ジョゴスは単体の生物ではないということだ。
それは、小さなジョゴスが集まって形成されている『群体』なのである。
そして、その小さなジョゴスは頻繁に細胞分裂を繰り返している。
その細胞分裂の要因となるのは、魔力だ。
通常は空気中の魔力を吸収しながら、緩やかに増えていく。
だが――時に、すさまじい爆発力を持って増殖することがある。
そして、その多くは魔法使いの側(そば)で発生する。
魔法行使の度に、魔法使いからは使われなかった余剰魔力が漏れ出る。
その魔力を餌にして、ジョゴスは分裂し、群体を巨大化させるのだ。
さて、再度翻って、この状況――。
現在、ジョゴスはエレノアの体に纏わりついている。
そして、エレノアは『魔力運用効率』が著しく悪い魔法使いだ。
身体能力強化の魔法を使うために、常に大量の余剰魔力を振りまいている。
つまり、ジョゴスにとってエレノアは、極上の『餌』なのである。
この箱の中は、最高の餌場となった。
ジョゴスにとって、これ以上の環境は存在しない。
ネクやハルの思惑をはるかに上回る魔窟。
そんな環境が、偶然生まれてしまっていた。
ジョゴスは渇きをいやしながら、『餌』の魔力を喰っていった。
そして、爆発的な細胞分れを繰り返し、その体積を増していく。
増えた体積分は箱の外に出ることなく、その箱の中を満たしていく。
仮に外に出られたとしても、出て行ったりはしなかっただろう。
箱の中にある極上の餌。
これを食らいつくすまでは、ジョゴスは離れない。
体積を増したジョゴスは、次々と『餌』の服の中へと入り込む。
そして、その肌を這うことで『餌』の身体に刺激を与えていった。
「ふっ……、はぁ……っ、あああああぁぁぁ!」
半狂乱になりつつ、『餌』は必死にもがく。
服の中からジョゴスを追い出そうと、狭い箱の中で必死に動き回る。
だが、それはジョゴスにとってプラスにしかならない。
動けば動くほど、彼女から発せられる魔力量は多くなっていく。
呼吸が荒くなり、そこから漏れ出る湿った吐息もジョゴスにとっては御馳走だ。
流れ出る汗はすべてジョゴスが吸収し、自らの渇きを癒していった。
そして、ジョゴスは気づいてしまった。
自らがこの『餌』の皮膚を刺激することで、その反応が高まることに。
だから、ジョゴスは自ら動くことにした。
渇きを癒すために反射的に動くのではなく、更なる餌を求めて群体の意思として動く。
「ひ、ひぇ……、ああああぁぁぁあぁぁ!? 止めてっ、もう、止めてぇぇぇぇええええ……!」
懇願する声に、ジョゴスは勢いを増した。
元々、ジョゴスは音に反応する性質がある。
叫ぶような嬌声と懇願の声は、群体を活気づかせた。
ジョゴスはさらに『餌』の身体を勢いよく這いずる。
「あ……っ」
そして、ジョゴスは特に水分の多い場所の存在に気づいた。
それは、『餌』の鼠径部だった。
ジョゴスによって与えられた刺激によって、『餌』はその下着を大きく濡らしていた。
残念なことにその部位は手で隠されている。
しかし、その程度ではジョゴスはあきらめない。
そこに水分と魔力があるのであれば、吸収しに行く。
それがジョゴスという生物なのだ。
ジョゴスは執拗に『餌』の股のあたりを動き回った。
「あああぁぁぁぁぁっ、止めてぇぇぇええええ!?」
対する『餌』は、絶叫しながらも、手でそこを固く守っていた。
ジョゴスは軟体生物であり、その手をどかすような力は持ちえない。
その『餌』が自ら手を離さない限り、そこへの侵入は不可能だ。
だが――。
箱の中では、『餌』にとっての悪夢が繰り広げられていた。
「ああっ!? うっぷ……っ、むぁ……!」
狭い箱の中で体積を増やしたジョゴス。
それは箱の中の隙間を満たしていき、今では『餌』の肩の部分までを満たしていた。
そして、ジョゴスは『餌』の首筋を這いあがってきた。
多くの神経が集まる首は、元々敏感な場所である。
そして、今はネクの【コンフ】の影響で、その感覚が快楽へと変換されてしまっている。
あまりに甘美な刺激が、許容量を超えて脳に送り込まれてくる。
「あああああぁぁぁぁぁああ! もう、駄目ぇぇえええええええ!」
そう叫んで、『餌』は身体を震わせた。
とたんに、未だ手で隠された股の部分から水分が染み出してきた。
それは、さらにジョゴスを活性化させることになる。
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