32:先輩は見ていた!
(ふふーん、今日はたくさん真田くんと一緒に遊べて楽しかったなぁ〜。それに、真田くんとのツーショット写真もいっぱい手に入ったし……部屋一面に貼らないと……ぐへへ)
真田くんたちと別れてホームに向かった後、私は自分の中の衝動が抑えきれずにしばらく立ち止まってスマホをじーっと見ていた。ああ、やっぱり真田くんかっこかわいい……今すぐこの写真から飛び出てきてくれないかなぁ。
「……あ!? し、しまった……電車行っちゃった」
そんなことをしていたら、いつの間にか電車を乗り過ごしてしまった。やっちゃったな、早く家に帰って真田くんとの写真を部屋に飾りたかったのに。でもいいや、待っている間にこの写真ずーっと見てればいいもんね。
(ああ、本当に真田くん好き……大好き……あ、あれ?)
駅のホームにある椅子に腰掛けてふと駅の外を見てみると、真田くんたちの姿が見えた。ああ、遠くから見ても真田くんは本当にいいなぁ……こっちに気づいてくれたら嬉しいなぁ。
……ん? 隣にいる人、金髪……カタリナさんって茶髪だったよね? だとしたらもしかして別人? いや、でも服装が同じっぽいし、後ろ姿も髪以外は見覚えが……。
あれ!? 真田くんなんかウィッグみたいなの持ってない!? あれ、茶髪だし……も、もしかしてカタリナさん、今日一日ずっとあれを被ってたってこと!?
しゃ、写真を見てみれば何かわかるかも……あ! 最後に三人で撮った時の写真、少しカタリナさんの金髪が出てる! じゃ、じゃあやっぱりカタリナさんは本当は金髪だったってことだよね?
(ど、どうしてそんなことを……さ、真田くんこの前彼女は茶髪だって……)
——えーっと……か、髪型はボブで……茶髪で……スタイル良くて……美人で可愛くて……明るくて……そ、そんな感じです!——
確かに真田くんは、私に彼女はこんな人だって教えてくれた。カタリナさんはまさにそんな人だったけど、茶髪ではなさそうだし……いや、この時は茶髪だったけど、最近染め直したってことは十分ありえる話だよね。
でもそしたらどうしてわざわざウィッグを被る必要があったのかがわからない。何か私に隠したいことがあったからそうしたのかな? でも隠したいことってなに?
(ボブで茶髪でスタイル良くて美人で可愛くて明るくて……んん?)
真田くんの考えが全然読めなくて写真をじーっと見ていたら、ふとその中にカタリナさん以外でボブで茶髪でスタイル良くて美人で可愛くて明るい人を見つけた。真田くんの隣にくっついて、今にも彼のことを抱きしめちゃいそうな勢いすら感じるこの人って……
「わ、私だ! わ、私のことだったんじゃないあれ!?!?!?」
駅のホームで他の人がいるにも関わらず、私はつい大きな声を出してしまう。でも仕方がない。だって真田くんが彼女だって言った人の特徴って、自分で言うのもなんだけど私にすごく当てはまるんだもん!
だ、だとしたら真田くん……も、もしかして彼女は本当はいなくて……。
わ、私を妄想の彼女にしてたんじゃ……。
「……あれ、でもそしたら真田くんなんであの時コンドームを持ってきたんだろう」
わざわざあんなことするには何か理由があったはず。でも私はどうも真田くんのことがまだまだわかってないみたいだから、確信が持てる推理ができない。
よし、こう言う時のために掲示板があるんだよね! 有識者にいっぱいお話聞いて……真田くんがもしかしたら本当は私のことが好きなんじゃないかって確信を持てるようになって……そしたら、そしたらついに……私は真田くんと……。
結婚できるんだぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます