第28話最後の1病棟

2020年1月から2020年10月までが原病院退院前の最後の1病棟での入院生活だった。1病棟看護師長は40歳のソノダさん。副師長はアラフィフのマキさんと弱冠30歳のスガくん。担当看護師は34歳元警察官のクリハラくん。


入院の発端は豪志が当時入居していたグループホームで、

「彼女が全然できない。風俗に行きたい」と言い出したことであった。

看護副部長で統括のサイトウさんは、

「「障害者の性」というのはこれからの精神医療の課題です」と言ってくれたのだが。

30歳美人看護師のアヤノさんが、

「じゃあ、根岸さん。先生に相談に行ってみましょう!」というので、相談がてら受診に行ったら、あっさりと、

「はい、入院ですね」となった。


いつものようにゴツい男性看護師が複数人現れ、

「根岸さん。年貢の納めどきですね(笑)」と笑っていた。

勝手知ったる原病院の新1病棟にそのまま連行された。東大医学部卒のノムラ先生は目を釣り上げ怒っている。

「キミはテンションが高いな!」と

「隔離から始まるんですか、ノムラ先生!」

「それはキミ次第だ」


美人看護師のアヤノさんがグループホームから着替えその他入院に必要なものを持ってきてくれた。

ベルトは押収され、靴も脱ぐ。カバンや財布、名刺入れなど入念な身体検査を受ける。

体重を測ると、96kg。

東大医学部卒のノムラ先生が、

「食事は糖尿病食にするように」という指示を出す。

身体検査が終わり最低限の身支度になると、

「じゃあ、根岸さん。行きましょうか(笑)」

「やっぱ、隔離かい」


保護隔離室。通称「隔離」に連れて行かれる。要するに独居房だ。

「じゃあ、根岸さん。あとでまた来ますから(笑)」

新築の隔離室で豪志の最後の入院生活がスタートした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る