第5話サエちゃん
サエちゃんはオイシックスの利用者だったが、休憩時間はいつも隅っこで大人しく本を読んだりしているタイプだった。
豪志は以前からサエちゃんが気になっていたので、思い切って声を掛けてみた。
「こんにちは。お名前なんていうんですか」
「あ、えと、スズキサエコです」
そこから徐々に仲良くなっていき、休みの日に2人で南千住に行く約束をした。
練りにねったデートコースだったが。南千住駅から吉原を回って山谷を回って帰ってくるというプラン。
吉原は普通の女の子は行かないので物珍しさでウケるのではと思ったのだが、サエちゃんはむしろムッとしているようだった。
「これはハズしたかな」と思ったが、山谷に向かうとサエちゃんの機嫌は良くなり、色々興味深そうに見ていた。
「あれ、なんですかね?」
「玉子弁当150円」のお店に並ぶ行列を指したので、豪志は、
「あー、あれ、教会じゃない?ほらあそこに十字架が見える。きっとボランティアだよ」
さらに、路地裏の、
「あんみつ130円」にもサエちゃんは興味を示したので、あんみつを2人前買ってサエちゃんに持たせた。
それから、サエちゃんは豪志の彼女となった。
サエちゃんとの2度目のデートは松戸新田のラーメン屋さんだった。サエちゃんが行きたいというので連れて行ったのだ。
豪志がA型障碍者就労を退職することになって、ワタさんとサエちゃんが毎日のように祝ってくれた。今日はラーメン、明日は南アフリカ料理、昨日はケバブといった具合に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます