第14話 日常

大学に向かう途中、俺はラルフローレンという居心地が悪くなる服にも慣れてきたと思いながら、葵を眺めた。弁当が二つ入ったトートバッグを持っている。講義が終わると、水色のスカートに白いブラウスを着た彼女が手を振って迎える。まるで大学生のような大学生になったと首を傾げたくなる。


昼休み、弁当箱を開くと中にはハンバーグが詰まっていた。葵いわく、フードプロセッサーでひいた手作りミンチで作ったそうだ。どうりで朝から騒がしかった訳だ。


帰り道も葵を眺めた。整った顔立ちだ。完璧な女なのかもしれない。ただ、色気がない。しかしそんな彼女が、何となく可愛く見えてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る