第3話 母親

夜まで音楽を聴き、バッグに荷物を詰めてクラブへ向かった。ヒップホップのビートが響いている。俺は定位置の壁にもたれた。


顔を知った男が俺の肩を叩く。俺がトイレに向かって指をさすと、男が後ろをついてきた。


トイレで現金を受け取ろうとしたところ、激しくドアがノックされた。やられた。そう思い、往生際悪く荷物を隠す。鍵を開けると、入ってきたのは制服姿の葵だ。


「お前、何してるんだ?」

「京介こそ何してるの!いつからそんなことしてるの!!」

「何で制服で入れたんだよ!」

「いいから帰るよ!」


そして男に向かってお辞儀をした。


「うちの子がご迷惑をお掛けしました!もう関わらないでください!!」


俺はクラブを引きずり出された。


「京介!人の道に反するようなことをしたらダメだよ!」


本当に母親だとしたら、母親というのはとても怖いようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る