8-6

「美海ちゃん 遅いわよ 誰と遊んでいるのよー 若い娘がそんなにふらふらするんじゃぁありませんよ」と、家に帰ると、お母さんから小言を言われていた。そして、着替えると、慌てて彼の臭いを消そうとコロンをつけて、降りて行った。


「美海ちゃん 匂い 強すぎるんじゃぁない? 下品よ」と、又、嫌味を言われてしまった。晩御飯の時も、私は気まずい思いで食べていたのだが、碧は調子良くって、珍しく自分からしゃべっていたのだ。私は、罪ほろぼしのように後片づけをして、お風呂が最後になってしまって、部屋に戻って、碧の部屋をのぞいて


「碧 今日 どうしたの?」


「あぁ 市民会館のミーティングルームが借りれてな そこで、会った。茉莉ちゃんも来てたけどな 一応 彼女たちの勉強 見てやったよ だけど、途中で 茉莉ちゃんが急に帰るといってな これじゃぁ デートにもなんないじゃぁないってー そのかわり 私にも誰か彼氏紹介してって言ってた」


「そう あの子 割とサバサバしてるわね その後 ふたりっきり?」


「うん 成り行き上な 璃々香ちゃんは緊張してたみたいだっけど」


「そりゃーそうよ 男の子とふたりっきりなんだもの 璃々香ちゃん かわいそうにー」


「なんでだよー 俺は そんなに危険じゃぁないよー」


「だけど あの子は まだ 碧のこと よく知らないんだよ しかたなく相手してるだけかも知れないし」


「でも 時々 笑ってくれてたよ 帰りも駅まで付き添って、見送ったし 又 今度ねって 別れた」


「そう あんた 灯ちゃんには 璃々香ちゃんのこと話したの? 昨日も一緒にランニングしたんでしょ そろそろ灯ちゃんはクラブやめると思うのよ だけど、碧と一緒に走りたいから・・」


「なんで あいつに、璃々香ちゃんのこと話さなきゃぁなんないんだよー」


「だって 灯ちゃんは碧のこと・・ いつまでランニングするの? もう、クラブ止めるんでシヨ?」


「うーん 夏の県民大会までは・・ 璃々香ちゃんとも約束したしー」


「なによー 約束って あんた 私立はだめよ うち お金 大変なんだからー」


「わかってるよ 国公立な ミィ姉の弟は そんな捨てたもんじゃぁないぜ」

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