第60話「モチベーションとスピードとタイミング」
「グループっていうのは難しいですからね~。そういう意味で菜々美ちゃんのことをよく知っているみなさんにチームを組んでもらえるのは一番だと思います~♪ 最強の布陣ですよ~♪」
確かにグループは人間関係とかが大変そうではある。
そう考えると、菜々美の熱烈なファンである二三香、菜々美のことを昔から知っている瑠莉奈、そして、三人のことをよく知る俺がマネージャーというのはバランスがいいかもしれない。
「ソロでわたしは頂点に登り詰めたからねー! 今度はグループで頂点を目指しちゃうよー! 落ちていたモチベーションが上がってきたぁー!」
この半年ぐらいテレビで見ていてもかつてのような熱気が感じられなかった気がしていたが、やはりモチベーションが落ちていたらしい。
「菜々美ちゃん復活は芸能界にとってかなりプラスなことです~♪ 我が社としても新たな分野に挑戦していけることは大いにプラスですし~♪」
しかし、まぁ……急転直下でいろいろと決まりすぎだろう。
菜々美の『結婚するー!』暴走発言から、まだ二日なのに……。
「うちは『善は急げ』が社訓ですしね~。スピードが大事ですよ、この業界~。流行はすぐに終わってしまいますしね~♪」
そう言われてみると、ブームって確かにすぐに終わってしまうもんだよな。
始まったと思ったら、いつの間にか衰退している。
アイドルに限らずサブカルチャーやグルメとかもそうだが。
「スピードとタイミングはなによりも大事ですからね~♪ 特に今は菜々美ちゃんへの注目度がマックスになってますから~♪ ここでサプライズ的に動画配信開始と新グループ結成を発表すれば話題沸騰です~♪」
神寄さんのメガネの奥の瞳がギラギラと輝いている。
これは巨額のマネーを見ている瞳だ。瞳の中に円や$を幻視してしまうレベル。
この人、肩書はマネージャーだけど、経営にも参画してるっぽいんだよな……。
「これが資本主義か……」
大人の世界怖い。
でも、いずれは行かねばならない世界だしな……。
「しゅーくんさんにもマネージャーとしての英才教育を施してあげますから楽しみにしていてくださいね~♪ アイドルの励まし方、
あまり教わりたくことばかりだ。まぁ、菜々美の扱いだけなら、ただイチャラブしてればいいのだから簡単だが……。
「それじゃあ、事務所に連絡して動画配信のためのカメラとかマイクとか照明とか早く持ってくるよう催促しますので~。機材がきたらさっそく配信の練習をしましょう~♪」
いきなり俺たちの活動は始まりそうだった。
なんという急展開。ジェットコースターに乗っているかのようだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます