第455話 家族の紹介
「アレックス!ようやく会えたな!」
「ちょ、ちょっと、ディダ姉さま!僕のお嫁さんたちを案内するまでは、遠慮して下さいって言ったじゃないですか!」
「そうだったか?でももう城にも連れて来たんだからいいだろう?
家族よりも先に妻になる相手を連れてくるなんて、お前は冷た過ぎるぞアレックス。」
「ほんとほんと、せっかく直接会う為の道まで出来て、僕ら楽しみにしてたのにねえ。」
「まったくである!人造人間を介さずにアレックスに会えると楽しみにしておったぞ!」
マルグス兄さまと、レスタト兄さまが、腰に手を当ててそう言ってくる。
「兄さまたちまで……。」
僕は思わず頭を押さえて、ハア……とため息をついた。そう、あの光は天界に通じる道なんだ。あの光を通じてなら、兄さまたちがこの城に直接来ることが可能になったんだ。
「ヒ、ヒ、ヒルデです!はじめまして!」
叔父さん以外の僕の家族に会ったことのないヒルデは、普通に僕の家族だと思ったみたいで、慌ててお辞儀をしている。
僕のもともとの家族を知っているミーニャは、僕の腕をキュッと掴んできた。
「ミーニャ、話してあった、僕のもう半分の家族たちだよ。」
「神々に直接お目見え出来たこと、光栄に存じます。アレックスの妻のミーニャです。」
ミーニャはスカートをつまんで、カーテシーのようにお辞儀した。
まあ、ミーニャは平民だから、カーテシーなんて当然したこともなくて、実際正しいカーテシーとは足の位置が違うんだけど、それでも神さま相手に自分の知っている最上の挨拶をしようとしたのは間違いない。
「よろしくな!」
「よろしく。」
「よろしくね。」
兄弟たちがニコニコと微笑んでいる。
「そう言えば、母さまは?」
「セオドアどのがいらっしゃる時まで我慢するとおっしゃって、1人残っているよ。」
ガレシア兄さまが教えてくれる。
「ああ、そうなんですね。」
「母さまとしては、2人で一緒に初めての感動を味わいたいのだそうだ。」
ああ、これまた叔父さんが照れるやつだ。
「2人に案内が終わったら、叔父さんもすぐに連れて来ますから、楽しみにしておいてくださいと、母さまに伝えてください。」
「あいわかった。」
「じゃあ、立ち話もなんだから、中に入ろうか、家族を1人ずつ紹介するからさ。」
「ああ、うん、そうね。」
このままお城の入口で話が盛り上がりそうだったので、そう言ってみんなを中にうながした。客間だとテーブルと椅子が足らないので、宴会場にみんなを案内する。
あ、お茶をどうしよう。3人分だと思っていたから、まだ茶器も用意していないよ。
「すみません、お茶の準備が……。」
僕がそう言うと、
「ここは天界に通じる城。我らの力が及ぶ場所。心配せずとも、ほれ。」
「ああ、待って。僕にやらせてよ。」
レスタト兄さまが人差し指を立てると、スローン兄さまがそれを制して、立てた人差し指をスッと振った。するとそれぞれの席にティーカップとソーサーが現れて、ティーポットが順番に紅茶を注いでくれる。
「お茶菓子もあるよ。」
そう言ってスローン兄さまが再び人差し指を振ると、1番上がケーキ、2段目がスコーンとクリームとジャム、3段目がサンドイッチの乗ったティースタンドが3つ現れた。
「わあ……!こんな魔法初めて見るわ。」
ミーニャが目を丸くしている。
うん、魔法じゃなくて神力だと思う。
「ありがとう、スローン兄さま。」
「どういたしまして。」
スローン兄さまが目を細めて微笑む。
「ね、ねえ、さっきから、ディダとかスローンとか……。アレックスのご兄弟って、神々から名を取られた方ばかりなのね。」
とヒルデが耳打ちしてくる。
「え?こないだ国を造る話をした時に言ったでしょ?僕、半分神さまだよ?
兄さまたちも神さまだよ?」
「え?じょ、冗談でしょ?」
焦ったようにそう言うヒルデ。
ああ、ヒルデは信じていなかったんだね。
まあ、自分は神さまですっていきなり言われても、荒唐無稽すぎるかあ……。
「じゃあ、改めて紹介するね。僕の兄さまと姉さまたち。この世界の神々だよ。兄さまたち、自己紹介していただけますか?」
「俺は狩りと鍛冶の神、ガレシアだ。」
「私は大地と豊穣の神、ミボルフィアよ。」
「美と愛の神、エリシア。よろしくね。」
「僕は健康と結婚の神、マルグスだよ!」
「酒と音楽の神、スローンです。」
「我は知性と発展の神、レスタトである!」
「嫉妬と誘惑の神、ディダ。よろしくな。」
「あとね、母さまが、生命と予言のアジャリべさまで、妹が、情報と通信のキリカだよ。
実は他にも兄弟や親戚がいるんだけど……あれ?ヒルデ?どうしたの?ヒルデ?」
気が付けばヒルデの意識が飛んでいた。
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スキルロバリーのほうも昨日更新しております。そちらも合わせてよろしくお願いいたします。
せめてあと1話更新を……!
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