第392話 無限廊下

【マジックバッグは回収されるようですね。

 アイテムボックスはスキルの為、防げる魔道具がないようです。防ぐことが可能なのは現代魔法を封じる魔道具でのみですね。


 ただし何かをアイテムボックスから突然取り出されてもいいように、対処可能な能力を持った賢者が対応するようです。】


 つまりはかなり偉い人か、凄く強い人が来るっていうことだね?


【そのようですね。】


 カナンのペンダントはどうなんだろ?

 魔道具ではないし、カナン自体が宝石に宿った精霊なわけだけど……。


 攻撃する能力がないかって言われたら、あるじゃない?もちろんカナンは、僕の身を護るためにだけしか力を使ったことはないけどさ、相手にそれが通じるのかな?


【祝福がかかったアイテムは、基本的に害意を持つ相手にのみ反応しますので、攻撃用のアイテムとして判断されませんね。

 本来ならば。】


 本来ならば?なら、カナンのペンダントは違うってこと?


【これは200年前の勇者の持ち物になったものであり、代々手にした相手を誘惑してきた精霊が宿ったアイテムです。


 いわば呪いに該当するもの。呪いはどう害悪をもたらすものでるか判断がつきませんので、おそらく回収されることでしょう。】


 返してもらえるんだよね?


【帰還時に返却される筈です。】


 良かった。

 それにしても長い廊下だなあ……。

 ダンジョンの無限廊下みたい。


 レンジアは一歩下がったところで、大人しくついて来ているけど、いつまで続くのか、わからない廊下に、護衛らしく心配をいだいて、いつ攻撃に転じないか心配になるよ。


【解析と妨害に時間がかかっているようですね。完了するまで廊下は終わらないということです。カナンさんのペンダントもそうですが、オニイチャンにはお母さまの加護や、オニイチャン自身の力がありますから。

 解析に時間がかかって当然ですね。】


 そっか……。というか、僕の力を解析するって、それって神の力もってこと?

 ──解析終わるのかな?


【どうでしょうね。人にオニイチャンの力が測りきれるとは思えません。

 無限廊下が終わらないかも知れませんよ。

 それこそ永久に。】


 ええ!?困るよ。

 帰ったら魔法の登録も出来ないし……。

 誰か出てきてくれたらなあ。

 直接質問出来るのに。


【待つしかありませんね。

 終わらなそうならそこで考えましょう。

 私もオニイチャンにあちらの道具を使った時の結果までは情報がありませんし。】


 はあ……。さっきまでレベルアップして嬉しかったのになあ。──あれ?そういえば、ドラゴンの国を作った時にはレベルアップしなかったね?あれはどうして?


【ドラゴンの国は確かに、あの時点でこの世に存在しないものでしたので、創生の海で生み出すことは可能でしたが、もともと一度世に存在していたものですから。


 まったく存在しなかったものを、いちから生み出すのに比べたら経験値が違います。

 だからレベルアップしなかったというだけですね。数にはカウントされてますが。】


 ええ……。あんなにスタミナ回復薬を使って大変だったのに、スキル経験値のカウントとしては、そうなっちゃうんだ……。


【まったく存在しないものを次々生み出したほうが、スキル経験値は上がりますね。

 逆に言えば、新しいものを生み出すだけでいいのですから簡単なのでは?


 オニイチャンは商人でもあるのですから、商売に使えそうなものを、たくさん考えるといいでしょうね。そうすれば、商売の役にも立ちますし、レベルアップもすぐです。】


 そうは言っても、なんでも生み出せるとはいえ、新しいものって、考えるのが結構大変なんだよ。それこそ商売に使えるものってなると、なおのことだよ。


 商売のタネがそう簡単に思いつけたら、みんな苦労しないと思うな。確かに僕としても僕しか生み出せないものより、従業員が生み出せるものを作りたいとは思っているけど。


【それはそうですね。魚も、珊瑚も、金塊などの鉱石も、塩も、オニイチャンのスキルで取り出したものと、一般に流通しているものとは、値段も質も違いますし、何よりオニイチャンにしか出せませんからね。


 魚だって、流通のことを考えたら費用がかさみますし、漁師に採らせた場合、今までの値段で販売するなど不可能ですから。


 魔法の手紙のような、オニイチャンと同じスキルを持たない人たちが生み出せるものをたくさん作る必要があると思います。


 ギアホースは魔導具師が作ることが可能なものとして生み出しましたが、戦力に影響を与える関係から、大量販売は不可能な商品になってしまいましたし。】


 それなんだよねえ……。思ったより強いものを作りすぎちゃったから。馬に乗って空を飛ぶのは楽しいんだけどね。


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