第213話 英雄候補者に対する祝福
水攻撃完全耐性のオニがやられたことで、他のオニたちは怯んでしまって、僕らに近付いてこようとすらしなかった。
今度は僕らが追いかけ回す番だった。
僕のスキルとルルゥさんの武器の攻撃で、自分たちの武器を失い、また心の拠り所だったオニを倒された彼らは、なすすべなく僕らに倒されていった。
「大量にゃー!」
ドロップアイテムの上で、勝どきを上げるエルシィさん。叔父さんがさっそく、さっきドロップしたメイスを鑑定してくれる。
叔父さんの武器鑑定スクロールは、消耗しないタイプのレアなやつなんだ!
「ふむ、固有(ユニーク)クラス、攻撃力+200、水属性攻撃無効か。まあまあだ。」
ぼくはそれをノーベルさんにあげることにした。僕が持ってても使わないしね。
「いいの?」
ノーベルさんが目を丸くしている。
「王家からの貸与品のほうが、単純火力としては強いだろうけど、いずれ返さなくちゃならないでしょ?借りてる間も魔物に応じて使い分け出来るし、良かったら使ってよ。」
「ありがとう!恩に着るよ!」
ノーベルさんは自分の物になったメイスを抱きしめて嬉しそうに笑った。
「さて、ここまでは無事に来たにゃりね。
連れて行くなら、次が最後の階だと思ってるにゃ。今までは順調だったにゃりんけど、ここから一気に強くなるにゃ。」
それでも行くにゃ?とエルシィさんが確認してくる。当然勢いづいていた僕らは、こっくりとうなずいた。
「この先のオニは魔法耐性が強いにゃ。オマケに防御力も高いのにゃ。だから1体倒すのに時間がかかる筈にゃ。1度に倒そうとしないこと、1人で倒そうとしないことにゃ。」
それこそ、さっきの水属性攻撃完全耐性持ちの鬼が、たくさんいるようなものだと思ったほうがいいのにゃ。とエルシィさんに言われて、みんなゴクリ……とつばを飲んだ。
2人がかりでも倒せなかったオニが、たくさんひしめき合っているのなら、叔父さんとエルシィさんはともかく、1体ずつに全員でかかってようやくというところだろうね。
「それでも行くにゃりか?」
エルシィさんがみんなにたずねる。
「もちろん!」
「ここまで来たら行くしかありませんな。」
「僕もぉ〜、今度はもっとちゃんと戦いたいなぁ。まだ武器でしか戦ってないしぃ。
僕個人のぉ、スキルやぁ、種族のスキルがどこまで通じるのかぁ、試したいしねぇ。」
そう言えば、獣人には種族スキルっていうのがあるんだよね。それに個人に配布されたギフトのスキルだってあるわけだし。だけどそれをみんなまだ使っていないかも?
これまでの階層では、貰ったばかりの武器の試し斬りってことだったんだね。本格的に戦うのはこれからってことなんだ!
みんなのスキル、見てみたい……!
「それに何故だか、とても力が湧いてくるような気がするんだよね。まだまだやれる!っていうか、全然疲れてないんだ。この洞窟の効果なのかな?みんなもそれを感じない?」
「ノーベルどのもでしたか!実はそれがしもなのです!なぜだか戦い続けたいような、はやる気持ちでいっぱいなのです!」
ダンジョンハイってやつなのかなあ?みんな戦闘に慣れているって風でもないものね。
エルシィさんは、おかしいにゃりね?洞窟にそんな効果はない筈にゃけど、と言った。
「みんな単に新しい武器に浮かれてるっていうだけなんじゃないにゃりか?下の層に降りても、そんな風に浮かれているままにゃったら、すぐにでも引き返すにゃりよ?」
ため息をつきながらエルシィさんが言う。
「……そうじゃない。なぜかこう、体の内側から感じたことのない力が湧いてくるような感じなのだ。うまくは言えんが……。」
ルルゥさんまで、自分の両方の手のひらを見つめながらそう言った。戦い慣れてるルルゥさんがそう言うのなら、なにか特別なことが起きてるってことなのかな?
【回答、英雄候補者に対する祝福について。
半神半人たる神の子、アレックスが周囲にいることで、英雄候補者に祝福が授けられます。HP、MP、SP回復率100%、これはスキルのレベルに影響を受けません。
また、周囲におらずとも、立ち寄った場所にいる英雄候補者にも祝福を授けます。ただし、回復率は30%にとどまります。】
え?立ち寄った場所に祝福を授けるって、僕、そんな聖女さまみたいなことになってるの?でも、聖女さまみたく病気を治すとか、そういうのじゃないんだね?
だからみんな元気いっぱいでまだまだ戦いたい!って気持ちになってるってことなんだね。疲れないならそりゃ動きたくもなるよ。
僕の英雄を育てる力のせいだったのか。
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ポケファイの電波が何故か死んでおります。
更新が重たい泣
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