ダンジョンブレイカー“僕だけがダンジョンの攻略法を知っていた”
フェアリーP
第1話 神の使徒
汝に……しよう。
『誰だ!?』
僕は神々しく感じる声を聞き、声の聞こえる方を見ると、そこにはTHE神様的なキラキラした白いローブを着て、梁木の様な杖を持つ、長い髭を生やしたジジイがいた。
『私は神だ……』
『……は? ボケたジジイに付き合うほど暇じゃないんだよっ』
周りを見ると、一面が雲の上みたいな所に立っていた。
僕はなんでこんな変な場所に立っていたんだ……痛っ!!
何かを思い出そうとすると、頭が割れそうな位に痛くなる。
『私は神だ……』
『さっきから壊れた機械みたいに、なんでリピートしてるの!?』
『私は神……』
……マジで壊れた機械なのか?
『いや、だからおじいちゃんが神なのは分かったからさ……ここ何処?』
この際だから、目の前のおじいちゃんが壊れた機械でも神様でもどっちでも良いけど、この不思議な雲の上に居ると気持ちが悪くなってきたので、早くここから逃げ出したいが、見渡す限り一面が同じ雲の上みたいな場所なので、おじいちゃんに別の場所へ連れて行って欲しかった。
『此処は時空の狭間だ……』
『えっ……なにそのゲーム的な空間は……あれ? もしかして抜け出せない空間?』
某ゲームキャラクターみたいにずっと彷徨う的な流れなのか?
それで目の前のおじいちゃんも彷徨い過ぎて、神だとか頭がおかしくなったのかも。
有り得るな。
『私の頼みを聞いてくれれば、すぐに出られる』
『えと、嫌だと言ったら?』
早くここから出たいけど、自称神のおじいちゃんの頼みを聞いたからと、出れる保証は無いのにわざわざ頼みを聞きたくはない。
『……魂が消滅する』
『怖っ!? それって脅し? 頼みを聞かないと殺す的な?』
『そうではない……お主は既に地球で死んでいる……頼みを聞いてくれれば異世界に転生……断れば魂は消滅する』
『それ、マジ?』
そう言えば、僕が何をしていた人間なのかは分かるけど、最近の記憶が曖昧だぞ。
僕は41歳の無職だけど、事故で亡くなった両親が持っていた貸アパートから入る家賃収入で生活していて……ずっとネットゲームやビデオゲームをやっており、世界レベルのガチゲーマーだと自負していたのだけど……最後の記憶が何月なのかとか分からない。
『あれ……これはマジで死んだのか?』
『本当だ。記憶に靄がかかっているのは死んだ時の後遺症だ。さあ、異世界か消滅か……』
何だよ、その生きるか死ぬかみたいな選択肢は……
しかし、このジジイが本当に神様で異世界転生させてくれると言うならば、オタク的には条件次第ではありかもしれない。
『それじゃ、まずは神様の頼みが何なのかと、異世界に行く前のボーナスはあるのか聞きたい』
『ボーナスは……祝福を3つ授けよう。そして、私の頼みは異世界のダンジョン攻略をお主にしてもらいたい』
祝福3つにダンジョン攻略……
ふむふむ……何だかよくあるテンプレ展開になって来たな。
今のところは悪くないかもしれない。
『その祝福は選べるんですか?』
『欲しい能力を言えば、それに近い祝福を授けよう』
『おおっ! 好きな能力を3つか。結構良いんじゃないか。ちなみに異世界の危険度は?』
『分かりやすく言えば剣と魔法があり、モンスターがいるファンタジー世界だ。モンスターはダンジョンから溢れるから、ダンジョン付近は危険だがランク分けされているからそこまで危険な世界ではない』
『なるほど……祝福は、死なない身体、成長限界無し、成長加速みたいなのは出来ますか?』
ダンジョン攻略するにしてもいきなり危険なダンジョンを攻略しなくても良いなら、この3つの祝福でゲームみたいに地道に最強プレイが可能な筈だ。
『可能だ』
『うおしっ! じゃあ、その3つの祝福をくれるなら異世界転生してダンジョン攻略します!』
『転生者の認証を確認……祝福は【バットエンド】【リタイア】【タイムアップ】。異世界【インタセクト】へ転生を開始する』
『ん? ちょ、ちょっと待て! 祝福が全然違くないかっ!?』
“転生開始まであと5秒……”
僕は神と名乗る怪しげなジジイの頼みを聞くんじゃなかったと、数年後に激しく後悔した。
✡
【女神アテナ】
『あれ? あの壊れた古神代理体がどこに行ったのよ!? あれ言語機能が壊れてて治らないから、そろそろ処分しないといけないんだけど……』
女神アテナは転生ブームだった時に大活躍した自動転生させられる神のクローン体を探したが、何処にも居なくて焦る。
確か勝手に移動できない様に、無限牢獄に拘束していた筈なのに処分するために訪れたら、無限牢獄内はもぬけの殻だったのだ。
あれはクローン体とは言っても、そこそこ位の高い神をベースにしているから、私みたい上級神なら別だけど、中級神クラスのスペックはあるのだ。
『アイツが変な事をする前に探さないと……』
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