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未来を見据えられず誰よりも愛を求めた少年が出会った女の子は、身分違いの姫君でもなく、同じように愛を求めた女の子だった。少年は少女と出会い、ボロ街で特に目的も無しに生きていた理由に気付いた。そして少女もまた、そんな少年の想いを感じ取り、愛した。少年は愛されることの幸せを知り、いつか少女が残した愛を、子供たちにも伝えたいと思った。そんなわけで少女を失っても笑顔を絶やさず、子供を育てて、やがて彼にも死期が訪れた。そんなわけで、今とっておきの話をしたわけだ。この話をできて、幸せに思う。おいおい泣くなよ、俺は幸せだったし、あいつも幸せだった、そして俺が望むのはもう、お前たちの幸せだけだ。まあ、そんなところだ、聞いてくれてありがとうな、父親として足りないところはあっただろうが、精いっぱい頑張ったつもりだ、許してくれ。じゃあ、あいつが待ってるから、またな。
俺の話も、これでおしまい。
(了)
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