第38話
「わざわざ国際電話かけてきて、会わせたい人がいるって言ってきたから、お前とはとっくに話がついてるもんだと思ってたよ」
英理が反論しかけたところ、
「有理!英理もいるじゃない」
高い声がフロアに大きく響き渡ったかと思うと、脂肪に恵まれた体に青いワンピースの中年女性が、どすどすと足音を立てて近づいてきた。
英理は喉の奥でうめき声を上げる。
「お久しぶりです。
有理は立ち上がると、如才ない態度でお辞儀をした。
「本当よ。たまにはこっちにも顔を見せなさいよ。
親戚付き合いとしては交流が濃いほうであったが、英理たちが進学、就職してからは会う機会も少なくなっていた。
恵美子は英理のほうを
「英理も久しぶり。元気そうね」
「はあ、まあ」
悪気のないおざなりさというのだろうか、恵美子は正直な人で、好き嫌いがはっきり顔に現れる。
よく言えばいつまでも少女らしさを忘れず、悪く言えばミーハーで大人げがない。
幼いころから有理をあからさまに可愛がるのを横目で見てきたので、扱いの差には慣れてしまっていた。
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