十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
第三話 ~永久さんと彼女の両親が我が家にやって来ました。~
第三話 ~永久さんと彼女の両親が我が家にやって来ました。~
第三話
永久さんが来る。という事になり、俺は自室で身だしなみを整えてから居間へと降りる。
いつも部屋着に使っている、中学時代のジャージでは流石に恥ずかしい。
それなりに髪型に整え、まともな服装に着替えてから居間へと降りる。
すると、既に居間では南野家の面々が桜井家に集まっていた。
「こんばんは、霧都くん。美香さんに誘われて来ちゃったわ」
「こんばんは、静流さん。いつもご馳走になってばかりなので、たまにはこうしてこちらからも呼ばせてもらいたいとは思ってましたよ」
「久しぶりですね、雅紀さん。明日は出勤ですか?」
「いえ、実は休みなんですよ」
「ほほぅ?では今日は久しぶりに飲みますか?」
「良いですね。お付き合いしますよ」
親父二人はそんなことを話していた……
「永久さんの前でベロベロに酔った恥ずかしい姿なんか見せるなよ?」
俺が呆れたような声でそう言うと、
「安心しろ。俺と雅紀さんが飲むのはお前らが寝たあとだからな」
「子供たちの前で酔った姿を見せるのはちょっと恥ずかしいからね」
……キャンプをしてた時は、ベロベロに酔ってましたよね、二人とも。
なんて言葉は口にしないでおいた。
「こんばんは、霧都。さっきぶりね」
「おぅ、そうだな。悪ぃな、いきなりこんなことになって」
「いつもの事じゃない?別に構わないわよ。それに永久も来るって話じゃない。あっちの方がいきなりだったと思うわよ」
「まぁ、そうだな。てか、この場で喧嘩みたいなことはしないでくれよ?止める人間が居ないんだから」
桐崎さんが居ないから、やり始めたら止まらなくなりそうだよ……
そんな俺の気持ちを察してなのか、凛音は笑いながら答えた。
「私から何かを言うつもりは無いわよ。せっかくのお寿司が美味しくなくなっちゃうわ」
「そうか、なら良いけど」
ピンポーン
という音が居間に響いた。
「多分、永久さんだと思うんだ」
俺がそう言って、インターホンの前にあるカメラに映った人物を確認しに行く。
そこには、ピンク色のカーディガンに、白色のロングスカートを履いた美少女が、両親と一緒に立っていた。
「あら、両親も来てらっしゃるのね」
「車で来るって言ってたからな。挨拶くらいはしていくか?」
「そうだね。せっかく来てもらったんだ。こんな事ならもっと買っておけば良かったな」
そんな会話をしながら、俺と両親は玄関へと向かう。
「じゃあ私は小皿とか箸とか用意してるね」
美鈴はそう言って台所の方へと向かって行った。
「ありがとう、美鈴。よろしく頼むよ。南野家の皆さんは座って待っててください」
「ありがとう、霧都くん。では️お言葉に甘えるよ」
「ふふふ。優美さんにはよろしく言っておいてもらえるかしら?」
静流さんは少しだけ妖艶な笑みを浮かべてそう言った。
……何故だろうか。二人の間で何かがあったような雰囲気を感じる。
そんな会話を経て、俺たち三人は玄関へと辿り着き、扉を開ける。
「こんばんは、永久さん」
「こんばんは、霧都くん。お招きいただいてありがとうございます」
姿を現した永久さんに、俺は笑顔で挨拶をする。
「こんばんは、北島永久さん。突然呼び立ててごめんなさいね」
お袋がそう言って永久さんの前に出た。
「いえ、こちらとしてもいずれはご挨拶をと考えておりましたので、良い機会だと思いました」
永久さんはそう言うと、一歩前に出て一礼した。
「桜井霧都くんと『結婚を前提に』お付き合いをしております。北島永久と申します。どうぞよろしくお願いします」
結婚を前提に。という言葉を強く言っていたように思える。
「ふふふ。真剣に交際をしてくれて嬉しいわ。私は霧くんの母親の美香です。よろしくね」
「私は父親の大樹と言う。今日は気負わずに楽しんでくれ」
「はい。美香さんに大樹さん。お気遣いありがとうございます」
永久さんはそう言った後に、後ろに控える両親を紹介した。
「こちらが私の両親です」
「桜井家の皆さんこんばんは。本日は永久をお招きいただいてありがとうございます。永久の母親の優美と申します」
「私は雄平です」
「優美さんに雄平さん。こちらこそ準備が足りずにお二人をお招き出来ずに申し訳ありません。後日。機会を設けたいと思いますので」
「ありがとうございます。それでしたら、是非とも我が家にいらしてください」
「もし良ければ、泊まりでも構いませんよ」
「あら、それは嬉しいです。息子の話ではとても立派なご自宅とお風呂だったと聞いてます」
「手前味噌ではありますが、お風呂には拘ってますので」
…………あまり話し過ぎてもあれだよな。
そう思った俺は、お互いの両親の話を止めに入った。
「その辺にしないか?俺は腹が減ってるんだけど」
俺がそう言うと、お袋と優美さんが謝ってきた。
「あら、霧くんごめんね。話が弾みすぎちゃったわ」
「ふふふ。ごめんなさいね、霧都くん」
俺はこのタイミングで、静流さんから頼まれていたことを伝えておいた。
「優美さんは静流さんと何かありましたか?静流さんからよろしく伝えておいてくれ。と言葉を預かってます」
俺のその言葉に、優美さんが嗤った。
…………なんだろう。最近こう言う嗤いかたをよく目にする気がする。
「そうね。どちらが霧都くんの母親になるかという話し合いをしていたわね」
「そ、そうですか……」
「だ、ダメよ!!霧くんの母親は私ですからね!!」
お袋はそう言うと、俺の身体を抱きしめてきた。
「……辞めてくれよ。もういい歳なんだからさ」
もう、そろそろ家に戻ろうぜ。
腹減ってるのもあるけど、あまり居間で南野家を待たせるのも失礼だろ。
俺はそう思いながら、いい歳こいて息子に抱きついてくる母親に辟易としていた。
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