十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
第六話 ~入学式を終えて自己紹介をする時間になりました~
第六話 ~入学式を終えて自己紹介をする時間になりました~
第六話
「うぅ……恥ずかしいです……」
「あはは。北島さん的には全く嬉しくないだろうけど、俺としては可愛いなと思ったよ」
「あぅ……そういう風に言うのはずるいです……」
入学式を終えて、教室へと戻ってきた俺たち。
隣の席では、答辞のラストでマイクに頭突きをかました北島さんが恥ずかしそうに頭を抱えていた。
マイクにぶつけたおでこはまだ少し赤くなってることから、結構強くぶつけたんだなって思った。
「こらー私の前でいちゃつくなー」
と、後ろの席から桐崎さんが声を掛けてくる。
「い、いちゃついてなんか無いです……」
顔を赤くする北島さん、俺は違うことを桐崎さんに聞いてみる。
「ねぇ、桐崎さん。お兄さんの祝辞を聞いたけど、凄く真面目な感じがしたよ。とてもじゃ無いけど、あんな二つ名があるようには見えなかったけど?」
俺のその言葉に、桐崎さんは苦笑いを浮かべる。
「あはは……おにぃは外面だけはいいからね。校則を変えた件だって、自分がやらかしたせいだし」
「自分がやらかした?」
桐崎さんはスマホを取り出して、俺に見せる。
「『通学路の中心で愛を叫ぶ』ってタイトルで動画を探せばわかるよ……その、身内の恥だからあまり見られたくないけどね……」
そんな話をしてると、教室の扉が開く。
「さて、これから最初のLHRを始める。みな、席に座りなさい」
根岸先生はそう言って着席を促した。
「よし。では始めよう。この場では自己紹介をしたあと、諸注意をして解散となる。各委員会などはここでは決めない。後日のLHRで決めることなるがな」
なるほど。
「では前から……ではつまらんな。後ろから自己紹介をすることにしよう」
そう言って根岸先生は一番後ろに座る生徒を指名した。
「
と、言ったところで、根岸先生は笑った。
あ、あの先生って笑うのか。
「……いや、すまない。桐崎が自由とルールについて話すとは、どの口が言うんだと思ってしまってな」
根岸先生の言葉に、後ろの桐崎さん(妹)がうつ伏せになって頭を抱えていた。
い、一体あの先輩は何をしたんだ……
そして、鷲宮くんから自己紹介が始まった。
とりあえず、皆よくある『普通』の自己紹介をしていた。
そして『南野』の凛音の番になった。
凜音は席から立ち上がって自己紹介を始める。
「南野凛音よ。入試の成績では三位だったわ。非常に悔しい思いをしたので次のテストでは首席になるつもりよ。趣味は身体を動かすこと。中学ではバスケをしていたわ。高校でもバスケ部に入るつもりよ。尊敬する人は両親。嫌いな人は……」
凛音はそう言うと、俺を睨みつける。
「……浮気性の男ね」
振った男を浮気性ってなんなんだろう……
「まぁ一年間よろしくお願いするわ」
凛音はそう言うと、着席した。
そして、少しするとめちゃくちゃイケメンな男子生徒が立ち上がった。
「ほ、
彼はそれだけ言うと着席した。
え!?それだけ!!
めちゃくちゃイケメンで陽キャの極みみたいな見た目してるのに!?
皆もかなり驚いていた。
「あー確か星先輩の弟さんってかなりの人見知りって聞いてたよね」
桐崎さんが訳知り顔で何かを言っていた。
「星先輩って……確かサッカー部の『学園の王子様』?」
北島さんの言葉に桐崎さんは首を縦に振る。
「見た目はお兄さんにそっくりだけど、中身は全然違うよね。星くんのお兄さんはとても愛想が良いし」
「知っているんですか?」
「うん。だっておにぃと仲良いからね、星先輩」
なんて言うか、『女たらしのハーレム王』とか『学園の王子様』とか……二つ名の多い高校だな……
その内『学園の聖女様』とか『深緑の令嬢』とか出てきそうだな……
そうこうしてると、自己紹介は俺の番になった。
「桜井霧都です。趣味はネット上の身体を動かすことです。ネットゲームのハンドルネームを自分の名前にしてもネタになるので、この名前は好きです」
みんなは笑ってくれた。やはり✝︎キリト✝︎ネタは鉄板だ。
「中学までは野球をしてましたが、高校では新しことにチャレンジしてみようと思ってます。勉強は得意では無いので、クラスの平均点を下げる係を請け負う予定です!!」
また笑ってくれた。ノリの良いクラスだと感じた。
「これから一年間よろしくお願いします!!」
俺はそう言って着席した。
隣の北島さんが小さく拍手をしてくれた。
「ありがとう」
「いえいえ」
そんなやり取りをしていると、北島さんの自己紹介になった。
…………嫌な予感がする。
「北島永久です。今年の入試では首席を取りました。隣の桜井くんは平均点を下げる係でしょうけど、私は上げる係を請け負うかと思います」
と、彼女はそう言って俺にパチンとウィンクをした。
あはは……
「趣味は読書です。ライトノベルと呼ばれるものを読むのが好きです。特にラブコメ物が大好きです」
へぇ、ラブコメライトノベルが好きなんだ。
「尊敬する人は南野さんと同じで両親です。嫌いな人は居ませんが、好きな人なら居ます」
「…………なぁ!!??」
凛音が思わず立ち上がる。
そんな彼女を北島さんは見つめて笑う。
「ふふふ。どなたかをここでは言えませんが、本人にはもうお伝えしていますので」
そう言うと、北島さんはふわりと笑う。
「勉強も運動も頑張りますが、一番頑張るのは恋愛かと思いますので、よろしくお願いします」
彼女が椅子に座ると、凜音も椅子に座った。
い、一触即発みたいな雰囲気だった……
そんな雰囲気を吹き飛ばしてくれたのは桐崎さんだった。
パンパーン!!
手を叩く音がした。
「はーい!!みんなこっち見て!!」
そう言って視線を集めた彼女。
「私の自己紹介だぞ!!よーく聞いてねみんな!!」
大きな声と笑顔で、クラスの雰囲気を明るく変えてくれた。
「桐崎雫です!!生徒会長の桐崎悠斗は私のおにぃ……兄です!!」
もう、おにぃでいいと思うけど……
「今年の入試では首席を狙ってたのに二位でした!!ちなみに私のおにぃも毎年二位です!!兄妹揃って万年二位と言われないように、私が首席を取ります!!恋愛にうつつを抜かす女には負けないぞ!!」
そう言って桐崎さんは北島さんにウィンクをした。
北島さんは笑っていた。
「趣味は料理です!!毎日おにぃにはお弁当を作ってます。たまにムカつくことがある時は作りませんが、基本は毎日です!!得意料理はカレーです!!桐崎家の秘伝の味は私しか知りません!!」
へぇ、料理が得意なんだ。
たまにムカつくことがある時はってのは面白いな。
「クラスのムードメーカーとして頑張ろうと思いますので、一年間よろしくお願いします!!」
パチパチパチ!!!!
とクラスのみんなが彼女に拍手をした。
「……まあ、桐崎の妹ならこの位はするか」
根岸先生が何かを言っていたようにも思えた。
とりあえず、一波乱あった自己紹介はこうして幕を閉じた。
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